数々の小説のモチーフとなってきた津山事件、テレビが触れない真相とは!?(横溝正史『八つ墓村』角川書店)
12月12日夜、フジテレビで放送された『報道スクープSP 激動!世紀の大事件III~未解決事件の「謎」と目撃者の「新証言」~』にて「津山30人殺し」が取り上げられ大きな話題となっている。
「津山30人殺し」とは、ご存知の通り、横溝正史『八つ墓村』(角川書店)のモデルにもなった村民30人大量殺人事件のことである。
この事件は、映画・ドラマなどにも幾度となく取り上げられ、最近でも2004年に稲垣吾郎主演でドラマ化されるなど、1938年の事件発生から何十年と時を経た今も人々の心を捉え続けている。しかし、なぜ、この「津山30人殺し」事件は日本人の関心をこれほどまでに集め続けているのか?
1938年(昭和13年)5月21日未明、岡山県西加茂村貝尾集落(現・津山市)にてその事件は起きた。犯人は同集落に住む当時21歳の都井睦雄。睦雄はあらかじめ用意していた散弾銃やブローニング猟銃、そして斧や日本刀などで同居していた祖母を筆頭に村民たちを次々と殺害、その後自らも命を絶つ。犯行は計画的で事前に送電線を切り、集落を孤立させるなど用意周到なものであった。
まるでスプラッター映画のような凄惨な事件の衝撃もさることながら、なによりも、その犯行動機が大衆の興味をそそった。睦雄が残した遺書には、結核のため兵役検査に丙種合格(入営不適格)で差別されていたこと、そして、集落の複数の女性と性的関係があったことが書かれていた。そんなことから、当時の報道や小説では、この集落に「夜這い」の風習があり、集落内で性的関係が入り乱れていた、その痴情のもつれから事件が起きたかのような記述も散見される。
その意味では、今回大きな話題を読んだフジテレビの番組『世紀の大事件』は、食い足りなかったようだ。というのも、番組では肝心の夜這いや集落内の性的関係にまったく触れられなかったからだ。
実際、放送が終了すると、ツイッターには〈夜這いの話が出てこない〉〈夜這い関係言及されてない〉といったつぶやきがかなりの数、見受けられた。
しかし、津山30人殺しは本当に「夜這い」の風習が原因だったのだろうか。一番最近の取材では、少しちがった様相が浮かび上がっている。