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240万部の又吉直樹、「テレビのほうが稼げる」発言の羽田圭介の収入は? ミステリ作家が小説家の金銭事情を暴露!

 そんな作家の雑収入で最も代表的なのが「講演料」。森は〈僕は1時間40万円の講演料で依頼を受けている。1時間半であれば60万円だ〉と語っている。テレビなどにも頻繁に出演する有名作家であれば100万円以上の講演料を取る作家もいるそうだが、一般的な作家が1冊で稼ぎだす印税とほぼ同額がたった1回の講演会で稼げてしまうとは……。〈作家の中にはこちらの方が割合が多いという人もけっこういるようだ〉という状況になるのもうなずける。

 さて、講演会でそれだけ儲かるということは、テレビに出た時の出演料などはどれぐらいもらえるのだろうか? さぞかし稼げるのかと思いきや、1時間の番組でコメンテーターとして出演してもらえるのは10万円から20万円ほどだという。「文化人枠」のギャラは安いという噂があるが、それは事実だったようだ。ただ、それでも文筆業よりは稼ぐことができる。羽田圭介は前述したように『ダウンタウンDX』のなかで「苦労して小説を書いて。200枚書いて僕の原稿料で80万円ぐらい。3、4本テレビで収録すればそのくらい稼げる」「本業の効率悪いなってちょっと思っている」といった言葉を残している。

 また、これらテレビへの出演は、そのテレビ番組を見て本業である本に興味をもってもらうための「宣伝」としても大きな役割を果たす。同じことが、アニメ・映画・ドラマ化された時の「原作使用料」にも同じことが言える。例えば、映画化される際に作家に支払われる使用料は〈まあまあな公開規模だったときが200万円、単館クラスのときは150万円〉(前掲『中流作家入門』)と、決して高くない。だが、その公開作品が話題となることにより、原作本もかなりの量が動く。森は『作家の収支』のなかで、押井守監督によってアニメ映画化された『スカイ・クロラ』を例に、映画化された時の本の売り上げの推移を説明している。

『スカイ・クロラ』が出版されたのは、2001年。そして、映画化が告知されたのはそれから6年後の2007年だった。映画化が決まる前と決まった後の部数の推移は以下の通り。

〈その6年間で売れた13万4000部に対して、その後の部数は22万部と圧倒的に多い〉

 映画化される前よりも、された後の方がはるかに本が売れている。さらに、『スカイ・クロラ』はシリーズものの小説だったため、こんなボーナスもついてきたと言う。

〈この『スカイ・クロラ』もシリーズものの第1作で、ほかに5作の続編がある。これらも販売数が伸び、映画の影響と思われるセールスで、シリーズは合計100万部を突破した。特に、値段の高い単行本で数が出ているため、映画化で得られた印税は、ほぼ1億円になった〉

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