「爆発に必要な火薬が存在したのなら、とっくに分かっているはずですが、それを公表していないのです。公安としてはとにかく事件を引っ張るだけ引っ張って、危機を煽りたいんでしょう。一方、容疑者については、いわゆる愉快犯的な事件にしては信じられないような規模の捜査をしています。この先、容疑者がもし安保反対運動に参加するなど、ちょっとでも政治的な活動に参加していれば、大々的に宣伝するでしょうね。逆に、もしただの愉快犯やネトウヨの自作自演だったりする場合は、事件そのものをフェードアウトさせてしまうかもしれません」(同前)
いずれにせよ、公安にとって今回の事件は“歓迎すべき”出来事だったという。そう考えると、冒頭の公安関係者の歓喜の声がよく理解できるだろう。
また安倍政権親衛隊メディアの「産経新聞」も11月25日には今回の事件を利用するかのごとく「テロと戦う法改正を急げ」と共謀罪や盗聴法改正の早期成立を声高に主張さえしている。
「靖国神社の事件は、いつ、どこにでも爆発物が仕掛けられる可能性があることを示している。警備に隙や穴がないよう、万全を期すことはもちろんだが、すべてを守りきることは難しい。だからこそ守りの警備に特化することなく、並行して攻めの警備態勢を整える必要がある。そのための法改正を、まず急ぐべきだ」
パリのテロや靖国神社の爆発さえ自分たちに都合よく煽り、政治利用しようとする。これはまさに火事場ドロボーではないか。テロに対する備えはもちろん大切だが、その恐怖と同様に、人権を制限され、自由を奪われ、監視される恐怖、弊害を忘れてはいけない。
(野尻民夫)
最終更新:2015.11.27 11:09