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再稼働ドミノに待った! 原発訴訟ですべての原発は止められる! 大飯、高浜原発を止めた弁護士が明かす法廷戦術と訴訟の舞台裏

「それなら、再稼動許可が下りた時点でもう一回、申し立ててやる」

 却下からわずか8日後の14年12月5日、高浜原発3、4号機が原子力規制委の審査を近々合格することを見越し、先手を打つかたちで、福井地裁に「仮処分申請」の申し立てを行った。

「仮処分申請」とは、正式な裁判の判決が確定するまでの間に差し迫った危険や損害が起き、申し立て側の損害が回復不能となることを避けるため「仮の状態」を定める手続きのことを言う。

 手ぐすねを引いて待っていたところに、再稼動許可のニュース――。審理は再稼動される前に迅速に終わらせる必要があるため、考えられる全ての主張は、一括して先に申立書で尽くしていた。申し立て書は全420ページ、証拠書類は重さにして10キロにも及んだ。

 高浜原発仮処分申請の争点は複数あったが、以下が主だったものである。

1 耐震設計の基準となる基準地震動の合理性……地震の「平均像」を基礎として、それに少し上積み修正した基準地震動では「最大級の地震動」を導き出せないこと。(実際、『最大の地震動』を上回る地震が2005年以降の7年間に4つの原発で5回記録されているのは先にも指摘したとおり)
2 免震重要棟の設置について猶予期間が設けられていること……事故が起きた際に司令塔の拠点となる免震重要棟は数年のうちに建てればよいとして現時点で設置されていない。
3 使用済み燃料プールの脆弱性について……高浜原発の使用済み核燃料プールは現在、格納容器のような堅固な施設で囲い込まれていない上に、燃料を冷やす冷却設備は最上位の耐震クラスでない。

 これについて関電は、「基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しない」「深刻な事故はめったに起きないだろう」「使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要する」と楽観的な見通しを主張するばかり。ついには、「科学の進歩にとって『失敗』は必要なこと。その進歩をたった1回の失敗で諦めていいのか」と開きなおりの詭弁でしかない「科学技術の進歩論」まで持ち出す始末だった。

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