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朝日新聞でなんでも両論併記の“中立病”が進行中! 難民中傷イラストを「風刺」、安保法制は「海外で評価」

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朝日新聞社HPより


〈おしゃれがしたい/贅沢がしたい/何の苦労もなく生きたいように生きていきたい/他人の金で。そうだ、難民しよう。〉 

 日本の漫画家がこんな悪意丸出しの文面とともにシリア難民の少女を攻撃するイラストをFacebookに投稿した問題は、世界中から「難民への偏見を助長する犯罪行為」「人種差別を煽る悪質なデマ」と厳しい非難を浴び、レイシズムだとして削除を求める呼びかけには1万人の署名が集まった。

 ところが、それから1ヶ月半たって、このイラストに「風刺」という価値を見出そうとする日本の新聞が現れた。それは普段、嫌韓ヘイトをまきちらしている産経新聞でもなければ、安倍政権の機関紙・読売新聞でもない。海外メディアから一応“liberal”と評されている朝日新聞だ。

 同紙は、10月24日付朝刊で、「難民批判イラスト、差別か風刺か 日本の漫画家が投稿、国内外で波紋」という見出しでこの問題を報じたのだ。

 いったい朝日新聞は「風刺」という言葉の意味がわかっているのだろうか。「風刺」とは政治の欠陥、社会の罪悪などを機知や皮肉、ユーモアで批判する表現のことだ。一方、今回、問題になったはすみとしこ氏の投稿は、溺死したシリア難民の少女に対して偽装難民だったという無根拠なデマをふりまき、難民救援活動に関わる写真家が撮影した難民の少女の写真を勝手にトレースし、紛争の被害者である難民を身勝手な存在として貶める、ただの差別、弱者攻撃にすぎない。

 こんなものに「差別か風刺か」などというタイトルをつけるのは、なんでもかんでも両論併記という、タチの悪い中立病にかかっているとしか思えない。

 しかも、朝日の記事は、タイトルだけではなく、中身も実に腰のひけたものだった。イラストは前述したように明らかな剽窃なのに、〈酷似していると指摘された〉とのみ記し、イラストへの批判についても、英BBCや米ワシントンポスト紙がこう報じたと引用しているだけ。「イラストは、難民という弱い立場の人への無理解に基づいており、風刺とはいえない」と示唆しながら、「個人を直接攻撃するものではなく、FBの明確な削除対象になるかどうかは微妙」と留保をつける。朝日新聞自体の意見については一言も触れられないまま。

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