左・佐藤可士和の「クールジャパン」のロゴ/右・コシノジュンコのJOCの第二エンブレム
類似性が指摘されたのは、1993年にコシノジュンコがデザインしたJOCの第二エンブレム。98年の長野冬季オリンピックに向けての商業ロゴとしてつくられたものだった。
前出の「女性セブン」によれば、コシノジュンコは11年に騒動が勃発した当時、大変に憤り、以下のようなエピソードもあったという。
〈あるパーティーで、コシノさん本人が、時の首相だった民主党の野田佳彦氏がクールジャパンのバッジをつけているのを見て大激怒。“これはどういうこと?”と大変な騒ぎになったのです〉
この件を受けて、筆者も二つのロゴを確認してみた。日の丸の左側に躍動感を表現したと思われる“尾”があつらえられている点はどちらも共通している。佐藤可士和の方は“尾”が9本、コシノジュンコの方は“尾”が11本という違いこそあるものの、パッと見はよく似ている。少なくとも外見だけ見ると、パクリという声があがっても仕方がないだろう。
では、ロゴをつくるにあたっての「考え方」はどうか? サノケンの一件では、エンブレムについて「(リエージュ劇場のロゴとは)考え方がまったく違う」として、パクリではないと釈明していたのが印象的だった。しかし、この佐藤・コシノの一件は「考え方」までよく似ている。
コシノジュンコはデザインコンセプトについて「動く太陽を表すことで、躍動するこれからの日本を打ち出した。シンプルで強い印象を心掛けた」(「読売新聞」93年10月21日朝刊)と説明。
一方、佐藤可士和は「日本が前へと進んでいく瞬間を押さえた躍動感のあるデザイン(中略)「次の新しい日本」へ向けたもの」(「Fashionsnap.com」11年9月13日配信)と、東日本大震災からの復興を背景としたロゴメッセージを発表している。ようは、両方とも「日の丸の前進」を表す“尾”が「日本の未来」を象徴する記号として使っていたというわけだ。