もっとも、この、クールジャパン政策ロゴマークとJOC第二ロゴの件は、前述の通り新聞沙汰にまでなるが、サノケン事件のように社会問題化することはなく、うやむやのうちに収束していったので、これが本当にパクリだったのかどうか、真相は藪の中だ。
ただ、かつてこのような問題を起こした人物が、サノケン騒動冷めやらぬこの渦中にサミットロゴマークという大仕事に携わって大丈夫なのだろうか。
9月2日に開かれた伊勢志摩サミットロゴマーク選考のための第一回会合では、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)『ワイドナショー!』(フジテレビ系)などテレビ出演も多い社会学者・古市憲寿が「プロセスを透明にして、人々が納得できるロゴを選びたい。東京五輪と同じような“炎上”騒ぎは絶対すべきではない」と発言した。佐野研二郎エンブレム撤回による損失は5700万円にもおよび、国民から大変な批判を浴びている。同じ轍は二度と踏んではならない。
いや、しかし考えてみれば、そもそも一般の国民の目にはほとんど触れないであろうサミットのロゴにそんな一流デザイナーや有名な社会学者を呼ぶ必要があるのだろうか? 佐藤可士和とコシノジュンコの一件にしても、一時話題になったもののすぐに収束したのは、クールジャパン政策のロゴ自体がそもそも一般の国民の目に触れるようなものではなかったからだ。血税の無駄遣いはこういうところから是正されていけば良い。今回の騒動ではあまり議論の対象になっていないが、公共のイベントに関するロゴマーク制作のあり方そのものにも今後はメスが入っていくことを期待する。
(井川健二)
最終更新:2015.09.25 07:25