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「牛歩」はみっともない戦術じゃない、政権の暴走に抵抗する当然の手段だ! 野党は徹底抗戦を!

 そもそも牛歩戦術とは、広い意味での議事妨害(フィリバスター)といわれるものだが、おもにフィリバスターというと長時間の演説で進行を妨害する方法(牛歩にならって「牛タン戦術」とも呼ばれる)のことをさす。2004年の年金制度改革法成立のとき、民主党の森ゆうこ議員が参院厚労委員長解任決議案の演説で3時間1分(戦後最長記録)もかけたが、これがフィリバスターだ。

 また、議事妨害にはほかにも「ピケ」(ピケッティングの略)という方法もある。ピケットとは「監視員」という意味だが、議場などの入口で与党議員の入場を阻止したりすることをいう。1996年に住宅金融専門会社処理問題で公的資金を投入するかどうかで与党と対立した小沢一郎率いる新進党が、このピケを行い、22日間ものあいだ委員会室を封鎖。赤じゅうたんに座り込んで煙草を吸うなどの議員の姿がメディアで紹介された。しかし、このときも案の定、新進党は大バッシングに晒される結果に。その後、新進党は求心力を失った。

 一方、アメリカなどの国では、フィリバスターは当然の権利として周知されている行為だ。その例として、1939年に公開された映画『スミス都へ行く』(監督/フランク・キャプラ)という作品がある。選挙によって議員となった青年スミスがダム建設に絡んだ不正を知り、それを告発しようとするものの逆に議会で除名のピンチに立たされてしまう。そこで一発逆転を狙い、フィリバスターを実行して大演説をぶつ──という物語だ。

 もちろん、こうした映画が“民主主義のあるべき姿”“正義のかたち”として支持されているだけでなく、実際にアメリカ議会では1957年にストロム・サーモンド議員が24時間18分にもわたって演説を行い、上院の最長記録として残っているし、「安倍首相と政治手法がそっくり」と評判のジョージ・W・ブッシュ前大統領が独裁的な政治を進めていたときも、フィリバスターによって阻止してきた部分がある。

 数の論理ですべてを決定するのではなく、少数意見にも耳を傾け、合意の道を探る……。そのひとつの方法が、議事妨害にある。いま、日本で行われているのは、いくら国民がおかしいと言っても安倍首相が「私は総理大臣なんですから」の一言で押し通そうとする、権力を笠に着た思い上がりの政治だ。これに抵抗するには、最後まで愚直に抗うこと。それしかない。

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