そして、経団連は、奥田碩会長時代から改憲と安保問題といった政治問題に踏み込みつつ、武器輸出三原則の見直しをたびたび迫ってきた。
昨年4月、安倍政権は「武器輸出三原則」を撤廃し、「防衛装備移転三原則」に変更した。それまで原則的に禁止してきた武器や兵器、それに関連する技術などの輸出を認める犯罪的な政策転換を行ったが、これも、経団連のリクエストに応えたものだった。
だが、「防衛装備移転三原則」では、一応、武器の輸出を「平和貢献・国際協力の推進に資する」「日本の安全保障に資する」場合と限定しており、武器を大々的に輸出するためには、「国際協力」「安全保障」の範囲を広げる必要があった。そこで、経団連はさらに集団的自衛権容認、安保法制の成立を安倍政権に働きかけてきたのだ。つまり、自衛隊が「地球上のあらゆる場所」に出かけることのできる体制をつくることで、これもあれも日本の安全保障に資すると、さまざまな国に武器を輸出することができるようになるというわけだ。
事実、防衛省と日本の軍需企業関係者は、かなり早い段階から、武器商戦に前のめりになっている。
昨年6月、フランスのパリで開かれた世界最大規模の武器見本市「ユーロサトリ」に、日本ははじめて本格的に参加。音頭をとったのは防衛省で、三菱重工、東芝、NEC、日立製作所、川崎重工、富士通らの企業とで「日本パビリオン」を設けた。
この模様に密着したNHKスペシャル『ドキュメント“武器輸出”防衛装備移転の現場から』(14年10月5日放送)では、防衛省の堀地徹・装備政策課長が「国でやっぱりPRできる、出展できる。(日の丸の)フラッグのもとでみなさんの士気も上がるし団結力もあると思うんですよ」と笑顔で語っている。
武器輸出解禁からわずか2カ月、安倍政権の動きを事前に知らなければ、絶対に出展準備するのは不可能だ。この事実ひとつをとっても、いかに政権と経団連=軍需企業が連携しているかがよくわかるだろう。