しかも、ここにきて、安倍政権は新たにとんでもない武器輸出政策を検討し始めている。開発途上国などを対象に、武器購入資金を低金利で貸し出すほか、政府自ら日本の防衛関連企業から武器を買い取り、相手国に贈与する援助制度を創設するのだという。
つまり、国民の血税を使って、海外に日本製の武器をばらまき、最終的に日本の軍需産業を儲けさせようというわけである。
しかも、これは防衛省や自民党政治家にとってもこのうえなく美味しい利権になる。
防衛省はこの武器援助を通常のODAとは別枠で運用する予定だ。特殊法人をつくり、その法人を通して開発途上国や日本の防衛関連企業への直接の資金援助を行うのだという。すでに、日本の防衛産業には多くの防衛官僚、自衛隊幹部が天下りしているが、武器援助事業への参入を狙う新興企業やこの特殊法人が彼らの新たな天下り先になる。
さらに、援助事業への参入を口利きすることで、自民党の政治家たちは軍需企業、防衛産業から巨額の献金を懐に入れることが可能になる。
防衛省の堀地装備政策課長は、先のNHKの番組で「(防衛装備移転は)安全保障対話の、ひとつの大きなツールになっていると思いますね」と語っていたが、実際は逆だろう。「安全保障」という名目が、軍需企業、防衛省、政治家の金儲けの「大きなツール」として使われているのだ。
そして、安保法制が成立すれば、この金儲けはさらに広がり、日本に巨大な利権をもった軍産複合体がが誕生することになる。
しかも、その金儲け、利権のためにばらまかれる武器は確実に、海外で“人殺し”に使われる。防衛装備移転三原則では「輸出先の国から第三国に日本の事前同意なしに(武器を)移転することも一定の条件のもと認められて」おり、一旦、海外に輸出されたら、どこの国で使われるか追跡は不可能だ。現に、元アメリカ国務省日本部長のケビン・メアはNHKの同番組で、「アメリカに部品を供給すれば、その先、どこに輸出されるか追跡する術はない」と言い切っている。すなわち、日本がつくり、売った武器・兵器が、紛争地域やISなどの過激派組織の手にわたることだって十分考えられるのである。