また、もうひとつはコストがかからないという点も大きい。「FRIDAY」15年8月14日号(講談社)では、これまで横浜・池袋でJKビジネスを展開し労働基準法で二度逮捕されている元経営者がインタビューに応じており、こう語っている。
「JKビジネスは開業資金が非常に安価で済むんです。必要なのは店舗の取得費用や簡単な内装費だけで、都心の繁華街でも200万円、郊外なら100万円あればオープンできる。それと、普通のお店ならバカにならない広告宣伝費もほとんど必要ありません。横浜で店をオープンしたときも、2ちゃんねるなどのネット掲示板やYahoo!知恵袋に一般客を装って『こんな店を見つけたんだけど』とか『こういう店がオープンしたと聞いたんだけど誰か知りませんか』と書き込んだだけ。JK好きのマニアにはそちらのほうが効果的なんです。おかげで宣伝費をまったく掛けていないのに、初日から10万円以上の売り上げがありましたよ」
ネットを中心に溢れかえっているロリコン者のコミュニティがJKビジネスを利益率の高いビジネスにさせ、増殖を後押ししていた事実がよく分かる。加えて、「FRIDAY」15年8月7日号には、また別の理由も記されている。
〈当局はJKビジネスの経営者について、より罰則の厳しい児童福祉法違反や児童買春での逮捕を目指している。しかしそれらでの摘発事例はなく、現状は労働基準法が禁じる「年少者の有害業務」をさせた容疑のみで、6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金にとどまる。性的サービスには店側は関知しない建前になっている。これが壁となり、児童買春での摘発は厳しいのが現状だ〉
こうした状況がより一層JKビジネスへの参入障壁を軽くし、経営者たちをこのビジネスに執着させていたのだ。実際、先にあげた千代田区の条例も罰則はなく、違反者には改善措置命令を出し、従わない場合は事業者名を公表するという程度のものだった。
7月にはアメリカ国務省が出した世界の人身売買に関する報告書で、JKビジネスが少女売春の温床となっているとの指摘がなされるなど、国際的な問題にすらなりつつある状況だが、この騒動はただJKビジネス経営者を締め上げれば解決される問題でもないようだ。先にあげた「FRIDAY」でJKビジネス元経営者は語る。
「今のコは完全に稼げるアルバイトとして集まっています。客にパンツを見られることや裏オプ(店が関知していない性的サービス)に対してもまったく抵抗がありません。JKビジネスができてから何年も経ったので、いまのコたちはJKビジネス=性的なサービスがある、という認識で働きにきている。いくら止めても裏オプするコはやめません」