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寝屋川中1殺害事件では差別も…見捨てられた福島原発「除染作業員」の悲惨な実態

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被ばく労働を考えるネットワーク・編『除染労働』(三一書房)

 寝屋川市中1殺害事件で、平田奈津美さん(13)の遺体を遺棄した疑いで逮捕された男(45)が、事件前後、福島第一原発事故の除染作業に従事していたことが波紋を広げている。

 報道によれば、男は、昨年11月から福島県で住み込みの除染作業員として働いていた。契約社員だった。7月初頭に一度退職したが、同月24日には福島県内の別の現場で除染にあたったという。8月11日、お盆休みで地元大阪へ帰省。高槻市の駐車場で平田さんの遺体が発見されたのは13日の深夜だ。男は、少なくとも17日までには福島県内に戻り、除染の仕事をしたと見られている。

 男が逮捕された21日夜、テレビメディアはすぐに容疑者が「福島第一原発の除染作業員だった」と報道したが、これに素早く反応したのが、男の除染作業の現場であった福島県川俣町だ。

 24日、川俣町議会は、男が携わっていた同町山木屋地区の除染作業を当面中止するよう、環境省管轄の福島環境再生事務所に文書で申し入れた。「除染は個人の敷地に立ち入ることから、作業員と住民の信頼関係が不可欠だ。事件は、住民に大きな不安と恐怖を与えている」と記載されていたという。これをうけ同日、福島環境再生事務所は、除染作業の請負元であるゼネコンJV(共同企業)に対し、除染作業員の規律と風紀の維持を徹底するよう文書で通知した。

 まるで、除染作業員は“犯罪者予備軍”だと言わんばかりの対応である。たしかに、テレビや週刊誌の報道は、容疑者の前科や特殊な行動、性癖など、その“異常性”を強調するもので、これが川俣町の住民に不安を与えていることは間違いないだろう。だが、言うまでもなく、除染作業に従事する人々は、個々人で事情も思いも違い、十把一絡げに“犯罪者”のイメージで語るのは間違っている。

 むしろ、いまいちど目を向けるべきは、除染作業員たちが置かれている“底辺”とも呼ばれる劣悪な状況だ。除染労働の内容は、建物等の拭き取り、落ち葉等堆積物の除去、草の刈り取りなどを手作業で行う重労働で、真夏には熱射病で搬送される作業員も少なくない。また、集められた枝葉などを機械裁断するため、汚染された粉塵による悪環境もつきまとう。いわゆる3K(きつい、きたない、危険)の労働なのだ。しかも、その過酷労働に支払われる対価は、一般の想像よりも格段に低いのである。

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