繰り返すが、こうした事態を招いた要因は、もともと公共事業という利権化しやすいところに除染事業を丸投げし、重層的下請け構造を放置し続ける実施主体、すなわち国の姿勢だ。『除染労働』によれば、環境省はあくまでも元請けへの改善要請のみで、下請けへの直接的な介入は拒否しているという。制度の不備を抜本的・法的に正すことができるのは国だけにもかかわらず、連中はカネを投じていることをエクスキューズに面倒を避けて続けているのだ。
危険で過酷な労働状況にもかかわらず、日当が中抜きされ、被曝の値すら隠されるような現実では、除染作業員という業種は“底辺”から抜け出せないだろう。
そして、この状況を放置すれば、手抜き除染や悪徳違法業者の跋扈もそのままになり、最終的に不利益は国民にふりかかってくる。末端の除染労働者を見捨てるということは、被災地を見捨てるということと同義だということを忘れてはならない。
(梶田陽介)
最終更新:2015.08.29 07:04