左・テレビ朝日番組ページ『マツコ&有吉の怒り新党』より「党員紹介」/ 右・『蛭子能収のゆるゆる人生相談』(光文社)
雑誌や新聞の定番企画といえば、読者からの悩み相談。じつは最近、テレビ界でいま引っぱりだこのあの2人が、偶然にも揃って人生相談本を出版した。その2人とは、現在、週9本のレギュラー番組を抱えるマツコ・デラックスと、第二次ブレイク期の真っ只中にいる蛭子能収だ。
人生相談は、寄せられた質問にアドバイスをすればいいだけなので、一見、簡単そうに見える。が、思考や価値観が露わになる回答者にとっては結構難しい企画。しかも、それを読み物というエンタテインメントにも仕上げなければいけないという、タレントの実力が試されるものだ。
さて、マツコと蛭子さんの回答者としての実力はいかほどのものなのか……さっそく読んでみた。
まず最初は、マツコの本『続 あまから人生相談』(ぶんか社)から。『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日)でも、視聴者からの怒りの告発に手厳しくトークを繰り広げているマツコだし、人生相談も辛口なのだろうな……と思いきや、その中身はいたってフツーの回答ばかり。
たとえば、「夫の前妻と間違えられて気持ちが落ち込む」(35歳・主婦)の相談に対するマツコの回答は、「こんなことに悩んでいるよりも、もっと旦那といろんな話をして、たくさんの思い出を共有していけば問題ないわ」。“明るく朗らかな同僚の女性に嫉妬心から執着してしまい、嫌われた。でも嫉妬が抑えられない”(58歳・パート)の相談には、「まずは、周囲の人に感謝することがすべての始まりよ」。
──まあ、マツコの言っていることは真っ当なのかもしれないが、テレビで見せる毒舌は影もかたちもない。これならマツコにわざわざ相談しなくても、ラジオの『テレフォン人生相談』(ニッポン放送)でドリアン助川に相談したほうがまだハッとする回答がもらえそうだ。
マツコのつまらなさにすっかりテンションもダダ下がりのなか、今度は蛭子さんの本を開いてみた。『蛭子能収のゆるゆる人生相談』(光文社)だ。じつはこれが、想像以上に蛭子節が全開の一冊だった。