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身内擁護に御用学者…法務省の審議会に参加した映画監督・周防正行がトンデモ実態暴露!

 ところが、これについても、当局関係者は議論にすることも忌々しいとの態度で「厳格に適用されている」と主張。もう一人の専門家である中央大学教授の椎橋隆幸は、「そもそも人質司法といえる実態があるのか」といった呆れた疑問まで口にしたという。こうした会議に選ばれる専門家は御用学者が大半といわれていたが、ここまでひどいとは……。

「端的に言えば、警察・検察関係者が、今までの捜査のやり方を、自ら客観的に、批判的に見ようとはしていないからだ」

 周防はこう分析するが、こうした現実の前に、彼の主張はまったく通用しなかったという。

 そして3年。できうる限りの主張をした周防だが、議論は噛み合わず、ある程度の妥協の末に「とりまとめ案」を承認した。現在でも周防の主張した全面可視化は実施されてはいないが、今後の運用を見守ることが大事だと指摘することで、自分を納得させるしかなかったようだ。

 周防はこの3年間をこう総括している。

「もともとは検察の不祥事が原因で開かれた会議であったはずなのに、その不祥事に対する批判も反省も忘れている人たちを相手に、改革の必要性を訴える日々は、虚しさに満ちたものだった。言葉を重ねても、手応えはなく素通りしていったり、強く跳ね返されるばかりで、およそ意見を闘わせたという実感はない。それでも最後まで言葉を尽くした。そうするよりほかなかった」

 本書を読むだけでも周防の疲弊が伝わり、当局関係者や役人の態度や言葉にうんざりする。それを3年間続け、こうして記録に残した周防には敬意を称したい。全面可視化には至らなかったが、官庁の審議会、諮問会議などの実態がこうして世に出たことだけでも、大きな意味があるはずだ。
(伊勢崎馨)

最終更新:2015.06.19 09:43

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