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「ヘイト」を追及し続けるジャーナリスト・安田浩一インタビュー(前)

両論併記に逃げるメディアの傍観者たちは「ヘイト」の意味も危険性もわかっていない!

──メディアも含めて、社会全体の相対主義的な態度をもう一つ感じたのが、本書にもあるんですけど安田さんがある有名なネトウヨを取材した記事を発表したときに起こった反応です。安田さんが彼の周辺情報を調べて、追い詰めていく。でもそれに対してネット上では個人情報を暴くことが「2ちゃんの祭りと一緒」「ヘイトスピーチだ」といった批判が巻き起こりました。

安田 まず言っておきたいのが、あの記事の目的は個人情報を暴くことではなかったということです。そもそも実名で書いてもいいと思っているものを匿名にして、彼の所在がわかるような書き方もしていない。個人情報を出さないように、僕自身もかなり抑制的に書いています。それから僕に対しての「ヘイトスピーチ」という批判に関しては、まあ、僕の本を読んだうえで出直していただけますか、と返す以外にない。
 僕が気になったのは「正義漢気取り」という批判。ツイッターのメンション欄を通して、直接送られてきたものです。「正義」という言葉は、これまで僕自身あまり使ったことがありません。でも僕は差別に反対し、差別と偏見を振りまいている人間を批判する正義というのはなくてはいけないと思っている。そこに介在する「正しさ」への信念は、僕もやっぱり抱えていますよ。それをきちんと主張することがなぜいけないのかと思います。
 ネット時代にはそうした相対主義的な批判は絶対来るよね。差別─被差別の関係というものをいわばプロレスのように見ている人が多いわけ。差別の現場をリングの上とか野球場とかテニスコートと並列に扱う人々がいて、メディアは観客席で、あるいは火の見やぐらや給水塔の上で眺めているだけ。こんな現状でいいのかよ、という苛立ちはすごくあります。火の見やぐらから見ているだけ、あるいは給水塔の上から望遠レンズでこの現象を追い続けているだけのメディアには本当に腹が立ちます。首に縄つけて引きずり下ろすか、足首に縄つけてバンジージャンプのように突き落として現実をちゃんと見ろよと迫りたい思いがある。

 ……「その意味で、最近すごく気になっていることがある」と安田は続けて、先日ドローンを飛ばして逮捕された15才の少年の名を挙げた。

 後編へ続く。

(インタビュー・構成 松岡瑛理)

最終更新:2015.11.03 07:45

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