同書には、まんしゅうのほか、過去にアルコール依存症になり、現在禁酒中のコラムニスト・小田嶋隆、大のビール好きで何度が体調を崩しているネットニュース編集者・中川淳一郎の3人による鼎談も掲載。そのなかでまんしゅうはこんな告白をしている。
「お酒がなくなると、家にあるワインビネガーからみりん、料理酒。あとは化粧水用に買ってあったエタノールまで飲んでしまいましたね……」
アルコール依存症患者にとって重要なのはアルコールそのもの。チューハイが安いからどうこうのレベルの話ではないのだ。
ちなみに小田嶋はアルコール依存症になった経緯について、
「もともと僕は不眠症なときや不安があるときに、それを解消するために、酒を飲んでいたので」
と、話している。さらに、こんなやり取りも。
「僕は、最初はビールでしたが、その後はウイスキー。最後はジンを2日で1本ぐらいですかね。しかも、ずっと酔っ払っていたいから、一気に飲むんじゃなくて、一日かけてちびちび飲むんですよ。すると一日中ほどよく酔っ払える」(小田嶋)
「わかります。アル中になると、『いかに少量で長く気持ちよく酔えるか』がポイントになるから、どんどんアルコール度数が高いものへと流れていくんですよね」(まんしゅう)
アルコール度数が低いチューハイは、必ずしも“アル中向け”ではないようだ。チューハイの増税がアルコール依存症の増加を防ぐという大義名分が怪しくなってくる……。
一方、中川はちょっと変わったケースで、
「オレはもっぱらビールだけなんですが、多いときは1日ビールを8リットルぐらい飲んでました」
とのことで、アルコールが好きなわけではなくビールな好きなのだから、「アル中じゃない」と主張。
そんな中川に対し、小田嶋は「中川さんのはちょっと特殊なケースだと思うけれども、やっぱりアル中だと思いますよ(笑)」とバッサリ。たしかにいくらビールだけだといえども、1日8リットルは健康を害するに十分な量であり、アルコールを過剰に摂取していることは間違いない。
ちなみに、政府の税制改正だと、中川が飲みまくっているビールは減税され、その価格は低くなる。ビール党のアルコール依存症患者にとっては、むしろ酒がやめられなくなるわけであり、ここでも政府の大義名分が揺らいでいる。