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「大阪都構想」住民投票直前 特別企画

橋下徹の圧力で凍りつく在阪テレビ局の「都構想」報道…あの怪物を作り出したのは誰だ!?

 橋下の圧力に屈して藤井を出演させないとなれば、曲がりなりにも報道機関として汚点を残すだろう。視聴者から抗議が殺到するかもしれない。さりとて、藤井が番組で都構想反対論を展開すれば、またしても橋下の逆鱗に触れ、さらなる口撃や圧力を受けるのは明らかだ。狂信的な「信者」もいる。ならば、予定通り起用はするが、その話をさせなければよい……と、そんな論理でテレビ局は逃げを打っているわけだ。

 2つの局だけではない。橋下と関係が近いといわれる別の局のチーフプロデューサー(CP)は、そう見られることを警戒してか、住民投票当日の開票特番に当初乗り気ではなかったという。その局関係者が自嘲気味に語る。

「CPは数カ月前まで『そこまでやらなくていいんじゃないの』なんて言ってたんですけど、他局がやるという情報が入ってきたんです。大阪の形が変わるかもしれないんだから、まあ当然ですよね。すると、『うちもやらないわけにはいかない』となって、今ではかなり熱を入れてます。結局、自社の判断ではなくて横並びなんですよね」

 同じ横並びなら、なぜ言論の自由に介入する文書を送りつけてきた維新の党に各局が足並み揃えて抗議しないのかという話だが──現に、大阪弁護士会の有志100人は同党に対し「マスメディアへの干渉について」と題した抗議文書を出している──そういう発想へは向かわず、とにかく自局にトラブルが及ぶことや他局に遅れを取ることだけを恐れる「事なかれ主義」が幅を利かす。週刊誌に書かれるまで文書の件を明らかにしなかったのは、その表れであろう。

 橋下はそうしたマスメディアの体質を知り抜いているのだろう。口撃すれば記者は黙る。「中立公正に反する」とクレームをつければ局は及び腰になる。繰り返していれば、やがて、自分の言い分を垂れ流すか、そうでなくても「話題そのものをスルーする」という形で批判の矛先を鈍らせていくということを。府知事になって7年あまり、彼はそうやってメディアをいいようにコントロールしてきたのだ。

■橋下に心酔するテレビ局社員、取り込まれる新聞記者

 橋下が、気に入らない記事や番組、それを報じた新聞社やテレビ局、ときには記者やコメンテーターの個人名まで挙げて激しく口撃することは、よく知られている。ツイッターや維新のネット番組、日々の囲み取材や記者会見、街頭演説や政治集会。あらゆるところで、ほとんど挨拶がわりにメディア批判、いや批判のレベルをはるかに超えた罵詈雑言をぶちまけ、支持者たちと一緒になって嘲笑している。

 とりわけ朝日新聞と毎日新聞を目の敵にして延々と口撃を続けてきたが、朝日は「週刊朝日」問題、「従軍慰安婦は必要だった」発言、堺市長選での維新の広告掲載などをめぐって次々と攻められたせいか、最近はほとんど迎合とも言える記事を頻繁に載せるようになっている。これには、大阪維新の会結成当時から現府知事の松井一郎に食い込み、近い関係にある記者が東京から府政担当に戻ったのが影響しているともいわれる。だとすれば、完全に取り込まれてしまっているわけだ。

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