著者はこうした「女子力男子」の様々な在り様を4つにグループ分けして分析している。第1のグループは「美」をツールとして他者からのリアクションを求めるタイプで、代表的なのは化粧や肌の手入れを怠らない「ビューティー男子」。化粧品CMで俳優の向井理が演じた「肌男」が典型だが、著者が行った調査では81人中51人が「化粧水を使用している」と答えたという。中には「顔にけが生えてくるだけで嫌悪感」を抱き、髭どころか産毛が生えてくるだけでピンセットで一本一本抜いていた人もいる。Kis-My-Ft2で舞祭組の千賀健永も先日放送された『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)で、化粧水11本を使用し、美顔器でお手入れする様子を披露していた。
化粧品をポーチに入れて持ち歩くのが「化粧ポーチ男子」。いきなり外泊することになっても、コスメを常に携帯していれば安心なのだという。なんだか「お泊り」になだれ込んだ女の子が、デート途中にコンビニで替えパンツをこっそり買うのと似ているような。実際、男子同士で互いにポーチを見せ合って盛り上がったり、急に会うことになった女子に貸してあげる例もあるそうだ。
女子の専売特許を奪う勢いなのは「ぶりっこ男子」。俳優でモデルの千葉雄大がその代表だという。特徴的なのは「萌え袖」なる仕草。長袖で手の甲を隠して、指先だけがのぞいている状態を指す。かつて女優の裕木奈江のトレードマークとして知られた、あの仕草だ。さらにここで登場する男性は写真を撮るとき「萌え袖」状態の両手をグーやチョキ、パーにして両頬にくっつけるという、恐るべきぶりっ子ポーズをとるという。その写真をLINEのプロフ画像にする徹底ぶりだ。
第2のグループはかつては女子が担っていた領域を得意とし、それを周囲にアピールする男子。料理を得意とする「もこみち男子」「パティシエ男子」「スイーツ男子」がその代表だ。速水もこみちだけではなく、V6の坂本昌行も番組で料理コーナーを務めている。意外なところではフィギュアの織田信成はパンケーキ通で知られ、ショップ巡りだけではなく玄人並のパンケーキを焼くほど。
「彼女の喜ぶ顔を見たいから、作ってあげたい。実は料理では彼女に負けたくない気持ちもある」と語る大学生は、ピザは小麦粉をこねて生地から作り、クリスマスケーキもお手製。ホワイトデーには「プールドネージュ」(砂糖をまぶしたクッキー)をプレゼントする。彼女は「私よりも女子力がある」と嬉しそうに言う。女性として居心地が悪いと思いきや、「いまは昔より格段に、こうした男子の女子力が市民権を得ているのです」と著者も言う。
他にもカフェ通いにハマる「カフェ男子」、女性特有の過剰な自意識「リア充アピール」をツイートする「キラキラツイート男子」もこのグループ。