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憲法記念日特別企画

改憲派の憲法学者が安倍政権の改憲を批判する理由…愛国の義務化で“非国民”再教育制度が!

〈憲法は国家権力を縛るもので、国民を縛るものではないのに、議員たちは自分が明治天皇になったつもりで、勘違いしている〉
〈本来は主権者・国民が権力を抑制する道具であるはずの憲法を使って国民に「道を説く」ことを主張する国会議員(つまり現実の権力者たち)が自民党にも民主党にもいるが、このことに、一部の護憲派を除いて、世論もじつに鈍感というか従順である。この状況こそ憲法の危機であろう〉

 その典型が、国を愛する義務と、家庭を守る義務を憲法で規定しようとしているという、驚くべき事実である。小林氏は、日本に生まれた以上、日本人として愛国心をもつべきだし、家庭を守るのも当然であるという立場だ。だが、それを憲法で定めるというのは違うと主張する。それをしたら人権の中核である自由に対する強制になってしまうからだ。

〈まず、事柄の本質として、愛などというものは、各人の心の最も深い部分にある良心作用で、そもそも外部から「義務」として強制・介入できるものでも、してよいものでもない。例えば男女の愛について考えてみれば明らかなように、愛は、それを求める側がその(努力と)魅力で相手から引き出すべきものである〉

 当たり前だ。しかし、こんな簡単なことすら、いまの自民党の改憲派にはわからないのだ。

 もし、憲法で「愛国」の義務を課したらどうなるか。まず、国民に義務を課す以上、それを公平に実施するための法律が必要になる。例えば「愛国法」がつくられることになる。所管は文部科学省だろうか。そして、さらに政令、省令、通達、要綱などで、愛国心の具体的内容(例えば、日の丸に敬礼するとか、皇居の前ではおじぎをする……とか)と指導方法などが定められる。その上で、国民教育が実施され、その結果の評価が行われ、成績優秀の「愛国者」とそうでない「非愛国者」に分類され、非愛国者には再教育が課せられることになる。このシミュレーションは冗談ではない。きわめて標準的な法的推論だと小林氏は述べる。

 憲法で義務化するというのは、こういうことだ。前述の自民党草案では前文と24条で「家族は、互いに助け合わなければならない」と謳っている。そんなバカな。これでは、離婚はもちろん離婚を前提とした別居も違憲となってしまう。家庭内で口もきかない夫婦はいったいどうすればいいのか。最高法規に書かれている以上、「離婚処罰法」や「不仲処罰法」ができてもおかしくない。米倉涼子も、三船美佳も、そして改憲案立案の責任者“政界失楽園男”の船田元氏もみんな違憲になるという、冗談のような異常な話だ。

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