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射精だけじゃない!◯◯と×××を刺激すれば男もイク!知られざる男性のオーガズム

 その後、80年代初めに〈「穴の発見」の時代〉に突入。当時、この「穴」を広めたのが小説家の栗本薫氏であるといい、彼女の〈有名な古典的BLで明らかに「穴」がある描写をしている〉という。ただし、その「穴」は〈毎回、血が出る〉そうで、現在のどこからともなく溢れる潤滑液のようなものが描かれる「穴」とは違っていたようだ。とにかく栗本氏が書いたことで、〈みんな「穴」に気付いたり、「穴を描いていいんだ!」〉となったのだそう。

 そして、90年代後半にはついに、〈「やおい穴=アナルでは?」と感じさせる描写が増え〉はじめ、その「穴」表現が全盛をきわめていく。

 ただ、いくら「イコール、アナル」だとしても、〈洗わなくても清潔で、セックスに適した穴のように描かれる〉〈うんこは出ないし、穴は初回でも10〜30分ぐらいで拡張できる。受けは挿入されるとすぐに気持ちよくなってアンアン言う。やや性急に挿入しても血が出ない〉というから、やはり現実のアナルとは程遠い。

 さらに、「穴」が気持ち良いときの擬音語を岡田氏が解説するのだが、〈「くぱぁっ」と開けば恥じらって、「つぷっ」と咥え込んだら「きゅんきゅんっ」と締まって、というのが名器〉とするなど、男性向けエロ漫画におけるマンコ描写と完全に一致する。

 だが、本書によると、この「やおい穴」はBLというファンタジーの世界観にとどまるものではないらしい。リアルな男性同士はもちろん、女性とのセックスでも大きな役割を果たすことになるのではないか、というのだ。AV監督のなかでも、特にリアルに男がヒイヒイ言う姿を撮っている二村氏は、男たちとアナルの関係についてこう言う。

〈男は、自分の体が性の対象になることに全く慣れていない。そして男にとってペニスであれば安心して能動的に快楽を抱けるんだけど、アナルはそうじゃない〉
〈(アナルは)自分でコントロールすることができない、受動的な快楽に身を任せることになってしまう〉

 そういったことを嫌がって出演を拒む男優もいるというが、それは、〈カメラ前で『ヒクヒクヒク、イッちゃうー』みたいな姿を晒すわけにはいかない〉〈男の沽券にかかわる。プライドが傷つく〉からだという。

 そんな男たちに、金田氏が〈普段、女のそれを見たがっておいて?〉と斬り込んでいるが、そう、女はヒイヒイ恥ずかしい姿を晒してもいいが、男は勘弁!というのが、現在のごく一般的なセックスなのである。

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