さらに、今月22日に行われたバンドン会議の演説で使った「深い反省」や今回の米議会で用いられた「痛切な反省」という言葉も同様だ。どちらの言葉も英語では「deep remorse」と訳されているのだが、読売新聞によると、実はこの「remorce」は「自らの罪悪への深い後悔」「自責の念」という意味があり、“謝罪”を連想させる言葉だという。1989年9月、西ドイツのヘルムート・コール首相(当時)が先の大戦50年を踏まえてこの言葉を使った演説を行い、海外で高く評価されたこともある。
つまり、安倍首相は米国向けには謝罪のニュアンスを出しながら、日本では謝罪をしていないことを強調し、依然として歴史修正主義を貫く姿勢をアピールしているのだ。
もちろん、安倍首相の本心は歴史修正のほうにある。国際社会の顔色をうかがって今は抑えているが、一気に戦争肯定、戦前の価値観を復活させるチャンスを虎視眈々と狙っているはずだ。
米国はつい最近までこの安倍首相の姿勢を危険視していたが、ここにきて、その本音を承知で、この歴史修正主義思想をもつ首相を全面支持する方向に姿勢を切り替え始めた。それはもちろん、安倍首相が集団的自衛権容認、周辺事態法改正によって、地球の裏側にまで自衛隊を派兵し、米軍の戦争に協力する体制をつくりつつあるからだ。
戦争のできる国へひた走る安倍首相と米国の一体化。恐ろしい未来はもう目の前に迫っている。
(野尻民夫)
最終更新:2017.12.23 07:19