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米国向けには反省、国内では歴史修正…安倍首相が米議会演説で駆使した卑劣な“二枚舌”

 実は安倍首相は訪米が決まってから、このダブルスタンダード、二枚舌作戦をしきりに用いるようになっているのだ。海外向けには反省のポーズを見せながら、国内向けには旧来の歴史修正主義的な解釈の余地を残す──。

 訪米を前にした3月、安倍首相は米「ワシントン・ポスト」のインタビューを受けたのだが、この際、従軍慰安婦を「ヒューマン・トラフィッキング」(human trafficking=人身売買)と定義し、「人身売買によって酷い目に遭い、想像を絶する苦しみと言いようのない痛みを受けた人々を思うと胸が痛む」と語った。英語の「human trafficking」は“強制的な連行”を想起させ、米国務省が慰安婦問題に関する公式見解でも使用している言葉だ。

 ところが、安倍官邸は一方の日本国内では同じ言葉を使いながら、この「強制性」とはまったく逆のことを喧伝しているのである。

 象徴的だったのが産経新聞(3月28日付)の記事だ。記事では、安倍首相が前述のインタビューで「人身売買」という表現を使った理由について、政府高官からとってきた「特別な意味はない」「人身売買には日本語の意味として強制連行は含まれない」というコメントを用いて、〈旧日本軍や官憲による強制連行説とは一線を画す意図もあったとみられる〉と書いている。

 ようは、安倍政権の情報操作を担う菅義偉官房長官みずからが、“「人身売買」には強制連行の意味はない”と産経記者に話して記事にさせているわけだ。

 さらにこの産経の記事は、〈戦前・戦中の朝鮮半島では、新聞広告などで慰安婦が募集されていたが、貧困から親に売られたり、女衒や業者にだまされて意思に反して慰安所経営者に売られたりしたケースもあった。首相の発言は、こうした事例を指している〉と続いており、従軍慰安婦に強制性はなく、あくまで民間の業者によるものだったと強調して報じている。

 その後も、安倍首相は今月27日の米ハーバード大学講演後の質疑応答や、29日のオバマ大統領との首脳会談後の共同記者会見でも、この“人身売買をhuman traffickingと訳す作戦”を駆使して国内外でのダブルスタンダードを貫いているわけだが、やはりというべきか、ネトウヨたちが「売ったのも買ったのも朝鮮人」などとツイッターで広めている。

 さらにこうした文言は、ネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)によりリツイートされるなどして、“安倍首相は近隣国に強気な態度を示し続けている”という印象が拡散されている始末だ。

 これは、あきらかに意図的な翻訳のトリックであり、“二枚舌”というほかない。

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