しかも、その中身も「しょせんはアイドルの営業レシピでしょ?」という穿った見方を超える充実の内容だ。相沢のレシピはたんにヲタウケを狙ったというより、絵本の世界を具現化したような料理で、ビジュアル的にもかなりクオリティが高い。
夢眠にいたっては「実家が食材の問屋をやっている関係で、フレンチや懐石料理とか、お得意様のお店に食べに行く機会が多かった」という筋金入りの食いしん坊だけあって、食に対するこだわりがかなり見える料理ばかりだ。
『夢眠軒の料理』のなかでは『孤独のグルメ』の原作者である久住昌之と居酒屋対談を行っているが、そこでも「小学校の頃の愛読書は『酒のほそ道』だったし、おやつにコンビーフの缶をめりめりって開けて、かじってるような子どもだったんです」と渋好みな趣味を披露。この発言には久住も「もう、酒飲みになるべく育ってきたんだね」と嬉しげだ。
そう考えると、歌やダンスでは表現しきれない個性を出せるのが、意外と料理という分野なのかもしれない、と思わせるこの2冊。いま、勢いに乗るでんぱ組.incを象徴するような料理本ではあるだろう。
(大方 草)
最終更新:2017.12.23 07:01