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声を捨てても言葉がある…つんく♂の歌詞の凄さを作家の朝井リョウが大絶賛!

 実際、朝井はつんく♂の詞に「僕の理解力をはるかに超えた言葉の使い方に震える」と言う。例として挙げているのは、太陽とシスコムーンの「ガタメキラ」の歌詞だ。

「1番の“寝顔 汗 首筋”の羅列は、まだわかるんですよ、なんかセクシーな雰囲気だなって。だけど2番では“立場 水 流行言葉”になっていて、もう追いつけません。言葉の天才に突き放された瞬間ね」(朝井)

 直木賞作家をして「言葉の天才」と言わしめるつんく♂──しかも、驚くべきことに、この対談のなかで朝井はモー娘。のある曲が“直木賞のベースにある”とまで断言している。

「言葉の力があまりにも強い。十数年前、ちょうど僕が思春期で、ちょっと斜に構え始めて“運動会頑張るやつかっこ悪い”みたいな時期にさしかかった時に、つんく♂さんは〈恋のダンスサイト〉(モーニング娘。)で“そうよ 青春はカーニバル 踊る人に 見てる人 同じ人なら踊ろぜワイヤイ!”って言ったんです。その時“自分は踊る人になろう! 見てる人になりたくない!”って思った」(朝井)

 しかも朝井だけでなく、柚木もまた「次に大作書こうと思ってたんですけど、そこで言いたかったことが〈1億3千万総ダイエット王国〉で言われてることだって気がついて」と、Berryz工房の楽曲を挙げてつんく♂詞と自身の創作のつながりを言及。さらに柚木は、こうも述べている。

「Berryz工房の〈友達は友達なんだ!〉が、彼氏ができたら彼氏優先になっちゃったりして女の友情って儚いよね、みたいな歌じゃなくて、じゃあ彼氏のとこ行っといで、うちら待ってるよ、友達だから……っていう、常々私が小説で言いたかったことを一瞬で言っていて、ひーって思って」(柚木)

 友情、恋愛とはかくあるべしという使い古された常識を、つんく♂は描かない。たとえば、恋愛ではよくある“こんな風に人を スキになるのなんて”という常套句、普通なら“想像もしなかった”などとつづけるだろう。例として秋元康は“こんなに好きになるなんて とっても意外だった”と綴っている(NMB48・山本彩のソロ曲「ジャングルジム」)。しかし、つんく♂は、“もっと先だと思ってた”と書く。朝井はこの点を挙げ、つんく♂詞の特徴をこう指摘する。

「下手な作詞家だと“一生ないと思ってた”とかにすると思う。アイドルには恋愛感情はないってことにしないといけないから。でも、“もっと先だと思ってた”ってことは、いつかはあると思ってたってことですよね。そこにつんく♂さんのアイドル観が出てるなと思って」(朝井)

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