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【特別企画】3・11を風化させるな! 被災地で原発で何が起きているのか

倉本聰が安倍首相を「福島を見捨て東京五輪を優先させた」と怒りの告発!

 さらに、地元の怒りは2019年ラグビーワールドカップにも向いているという。森喜朗元首相が中心になって誘致されたこの大会だが、開催都市のひとつが被災地である岩手県釜石市に決定。そこでクローズアップされているのが釜石鵜住居復興スタジアムというハコモノの建築だ。

「このスタジアムは大会が開催されるスタジアムの中でも唯一の新設されるものです。概算工事費は約27億円と試算されています。今後はワールドカップ仕様に合わせさらに増えることも予想されますし、地元の労働力もかなり流入すると言われています」(同前・ジャーナリスト)

 釜石市は新日鉄釜石ラグビー部という名門実業団があったことから、市民も誘致に賛成の声がある一方、いまだ仮設住宅で生活を余儀なくされている被災者も多いことから、ハコモノやイベント優先に違和感を抱く被災者も少なくないという。

 さらに2016年に日本で開催される主要国首脳会議(サミット)の誘致もまた被災地に影を落としている。現在、国内の8都市が候補地として挙げられているが、その本命とされるのがやはり被災地の宮城県仙台市だ。サミットが開催されれば300億円といわれる資金流入が予想されている。この誘致に積極的な仙台市はサミット開催に向け、仙台国際センターの増設工事を決定、25億円もの税金を投入する予定だ。またJR仙台駅と仙台国際センターをつなぐ地下鉄も開通予定なのだ。

 明らかに世界に向け安倍首相が宣言した「アンダーコントロール」をアピールする狙いがミエミエの世界的イベントの開催だが、しかし、福島原発からは事故直後より高濃度の汚染水が漏れ続け、周辺の放射線量も高い数値をたたき出している。帰宅困難区域、避難区域の住民たちの現状は深刻さを増している。原発事故や周囲の状況はコントロールからはほど遠く、収束もまったく見えていない。そんななか、国や行政は被災者そっちのけで“見せかけの復興”に邁進している。 

 こうした現状には倉本でなくても怒りと憤りがわきあがってくるが、倉本は脚本家としてこの状況に抗しようとしている。震災の数年前から「テレビに絶望した」と脚本家としての仕事をセーブ、一時は引退説まで囁かれていたが、この惨状を見て原発事故をテーマにした舞台「ノクターン──夜想曲」を上演、現在も全国で巡演する予定だ。

 舞台は東日本大震災から数年後の福島。津波で娘を亡くした原発作業員など近親者を失った男女が、震災のときの後悔や故郷を奪われた悲しみを表現し、原発事故の理不尽さを浮かび上がらせるものだ。

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