全く知らない音楽をやっているからこそ面白いと感じることも多いというSU-METALだが、必ずしもメタルをやりたいというわけではなさそうで、
「もちろんBABYMETAL一本でやってくっていう気持ちもあるんですけど、もっと色んな音楽に触れていきたいなっていう気持ちもあります」
と“メタル以外をやってみたい”という10代の女の子らしい本音を見せている。
さくら学院は、中学を卒業するとともにグループを卒業するという決まりがあり、SU-METALこと中元すず香は2013年3月にさくら学院を卒業している。その記念に発売された写真集『さくら学院 中元すず香 2013年3月卒業 完全版』(近代映画社)には、「卒業生答辞」として直筆のメッセージが掲載されているが、そこには「BABYMETAL」という文字はなく、
「私の夢は、歌手になることです。
これからも、色々なことを学び挑戦していき、中元すず香にしか描けない世界や中元すず香にしか伝えることができないメッセージを世界中に発信していけるような歌手になることが目標です」(原文ママ)
とある。中元はさくら学院卒業を機にBABYMETAL一本で活動していくこととなるのだが、どうやらやはりBABYMETALこそがやりたいことというわけではないようだ。
「そもそも“アイドル”なのだから当然といえば当然ですが、運営サイドが考えたことを3人のメンバーにやらせているだけ。それが良いのか悪いのかという問題ではなく、そういうものなんです」(前出アイドルライター)
では、どうしてBABYMETALがブレイクしているのだろうか。前出のメタルに詳しい音楽ライターはこう分析している。
「BABYMETALに食いついたのは音楽ファンの中でも、コアなメタルリスナーではなく、ライトなロックファンが多い印象。あるいは“サブカル層”ですね。J-POP的なキャッチーなメロディーとEDM的ダンスミュージックの要素が強いことで、メタルリスナーには“ぬるい”と思われているかもしれないけど、ライトな層にはそれくらい解りやすい方がいい。ちょっと前までPerfumeを聞いてて、その後ももクロに興味を持った音楽ファンなんかが流れてますよ。ちなみにコアなアイドルファンはさくら学院優先で、BABYMETALの方はすでに敬遠気味ですね」
世界の音楽ファンに受け入れられているのはどうしてなのか。
「最大の理由は十代の小さい女の子がメタルをやっているという“なんじゃこれ感”でしょう。日本ポップカルチャー特有のイビツでキッチュな感じがモロに出ているので、外国人が喜ぶのも当然でしょうね。こんなことを言っては身も蓋もないかもしれませんが、『アイドル+ヘヴィメタル』というアイディア勝負。そして、そのアイディアを真面目にやり切ることができたのが良かったんだと思います」(前出音楽ライター)