背景には、もともとオフィスエヌがミスターの権利関係やマネジメントを管理していたにもかかわらず、一茂のナガシマ企画が介入しはじめ、関係各所との軋轢を生むようになったことがあった。最大のきっかけはミスターのリハビリの模様を放映したNHKに対し、ナガシマ企画がクレームをつけ、「ウチを通せ」と横やりをいれたこと。これにミスターが激怒し一茂外しを決断したのだという。
ところが、こうした動きに対して、「フライデー」(09年7月3日号/講談社)が一茂サイドにたち、一茂はずしの裏に次女の三奈、そして故・亜希子夫人の実弟の妻であるAさんの存在があると報道。Aさんが“女帝”といわれるほど力をもち、ミスターを陰で操っていると書いた。
すると、ミスターはこの記事に対して異例の抗議声明文を発表する。
「今回のように悪意に満ちた、全く事実と違う記事に対して、大変に憤りを感じています(略)娘たち、義理の妹が献身的に支えてくれています。そうした善意をこの記事は真っ向から踏みにじるものです」
これは明らかに、「フライデー」を使って情報戦を仕掛けた一茂に向けた抗議だった。
しかも、これがきっかけになって、一茂に批判的な報道がどんどん出始める。まず、「週刊文春」(09年7月2日号/文藝春秋)が「長嶋茂雄と一茂 少誌だけが知る『骨肉のバトル』」と題し、一茂が「長嶋茂雄」の商標登録の更新を行い、その商標権を獲得、これに対してミスターは「少年野球教室のことで協力してほしいからサインをしてほしい」といわれてサインをした「騙しうちにあった」として無効を主張していると報道。
「フラッシュ」(09年7月21日号/光文社)もこの商標権問題を取り上げ、ミスターが一茂に激怒し、「裁判をやる覚悟はできている。法律に判断してもらうしかない。不退転の決意でやる。息子といえども不正は許さない」と宣言したとの情報を伝えた。
実際、ミスター側と一茂サイドは双方弁護士をたてて交渉をしていたものの、決裂。一時は訴訟になることが確実という情勢だったという。
そこで、慌てた一茂がすがったのが、“芸能界のドン”バーニングプロの周防郁夫社長と幻冬舎の見城徹社長という2人の大物業界人だった。周防社長はもともと故・亜希子夫人と親しく、一茂が引退した後の面倒を見た経緯がある。またその周防社長の右腕といわれる見城社長は、今、一茂の最大のブレーンだ。