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鼻血騒動の『美味しんぼ』福島編が単行本に! 抗議で訂正説も実際は…

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『美味しんぼ』111巻(小学館)

『美味しんぼ』(作・雁屋哲、画・花咲アキラ)の“鼻血”騒動から半年、問題部分が収められた単行本111巻『美味しんぼ 福島の真実2』(小学館)が出版された。

 周知のように、この騒動は今年5月、「ビックコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された同作の「鼻血の描写」に関して、各方面からの抗議が相次いだというもの。同誌が発売された直後から、ネット上などで「風評被害を助長させるもの」「差別を増長させる」との批判が殺到し、福島県や地元政界が発行元の小学館に「福島県民の心情を全く顧みず深く傷つけた」と抗議。菅義偉官房長官や石原伸晃環境相(当時)も原発事故の因果関係を否定した。

 その後、『美味しんぼ』は連載休止になったため、単行本の扱いがどうなるのか、注目を集めていたが、作者の雁屋哲と小学館は抗議に怯むことなく出版に踏み切ったということらしい。

 ただ、今回の単行本化にあたっては、十数カ所のセリフなどが訂正されているという。ということはやはり、各方面からの圧力で記述をトーンダウンせざるをえなかったのだろうか。実際に訂正箇所を検証してみた。

 まずは問題の主人公・山岡士郎が鼻血を出し、医師に診察を受けるシーン。山岡の台詞は「スピリッツ」連載時では「それから数日、鼻血が収まらなくて」だったのが、今回の単行本では「福島の取材後、鼻血が出て……」となっている。

 また、医師の台詞も「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」から「お話の様子からでは原発見学で鼻血が出るほどの線量を浴びたとは思えません」に。

 同作では、原発事故で甚大な被害を被った双葉町の前町長・井戸川克隆が実名で登場して「福島には住めない」とコメント。大きな批判を浴びたが、このセリフも「私は前町長として双葉町の町民に福島県内には住むなと言っているんです」から「私は前町長として双葉町の町民に福島県の外に出ろと言っているんです」に変更になっている。

 除染の効果を否定した福島大学の荒木田岳准教授の発言も以下のように変わっている。

「福島がもう取り返しのつかないまでに汚染された、と私は判断しています」→「震災前の政府の基準に従えば、住んではいけない所に多くの人が住んでいる、それが福島県の現実です」
「除染作業がこんなに危ないということ。そして、福島はもう住めない、安全には暮らせないということも」→「除染は危険だし、きりがない。緊急避難的意味はあったとしても、福島を元通りにするのは難しいと」
「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」→「福島のすべての地域を除染して危険を完全に取り除くなんてできないと私は思います」

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