しごく真っ当な意見である。だがこうした北原の姿勢が今回の逮捕に何らかの影響を与えていたとしたら――。まさかとは思うが、北原の周辺では「不当逮捕」「国策」という言葉が飛び交い、「反フェミの山谷えり子国家公安委員長が警察を動かしたんじゃないか」という憶測まで飛び交っている。これについて、詳しい大手紙社会部記者が語る。
「この程度の事件に官邸や国家公安委員長が指示するとかいうのはありえない。ただ、警察が政権の空気を忖度して動いたというのはあるでしょうね。ろくでなし子の周辺を調べていたら、安倍首相を批判しているとんでもない女がいた、ついでにこいつもパクっちまえ、という……。警察は山谷えり子が国家公安委員長になってからというもの、イケイケで、露骨に上が気に入りそうな相手ばかりをあげるようになっていますから」
なんとも暗澹とするような話だが、北原に関してはもうひとつ気になることがある。それは今年8月、北原を襲ったある“異変”だ。
北原は「週刊朝日」(朝日新聞出版)に長期連載「ニッポンスッポンポン」を持っていたが、今年8月22日号から約1ヵ月後の9月26日号まで連載が休止されていた。その理由は慰安婦問題だったといわれているのだ。
そして「週刊朝日」の連載でも、慰安婦問題について女性としての視点で安倍政権批判のキャンペーンを張る予定だったといわれていたのだ。それが一転、コラム自体が掲載されないという事態に――。
「北原自身、旅行に行きたいから休んだと周囲に語っていたようですが、北原さんがライフワークのようにしてきた慰安婦問題がこれだけ騒がれた時期だけに、大きな疑問です」(北原に近い関係者)
そして指摘されているのがコラムの内容を読んだ編集部の自主規制、そう第二の池上彰事件だと言う指摘だ。この一件を報じた「選択」(12月号)にはその理由がこう記されている。
「『当該号の内容は、従軍慰安婦寄りで(朝日の)検証記事を否定する内容だった』(同誌関係者)とされる。これが社内で問題となり、最終的には『印刷機を止めてまで掲載を中止した』のだ。強硬手段にでたことからも『朝日上層部の判断だったことは間違いない』」
言論の自由、表現の自由は、あらゆる場所で、さまざまなやり口で、確実に奪われつつある。
(伊勢崎馨)
最終更新:2018.09.27 01:01