「枝野幸男オフィシャルサイト」より
「私はアイドルファンだ」──。総選挙を前に突然、民主党の幹事長である枝野幸男がこんな主張をはじめた。
朝日新聞によれば、枝野は“山口百恵が神”と語りアイドルファン宣言を行っただけでなく、AKB48の19thシングル「チャンスの順番」を「民主党ソング」とまで公言。なんでも歌詞にある〈チャンスの順番 次は君に来る どんなに負けてても 今度は勝ちに行こう〉というフレーズが「民主党の現状に重なる」と感じているらしい。
この唐突でとんちんかんな宣言に、ネット上では「百恵とAKBって、どれだけニワカなんだか」「民主党はアイドルヲタの票を狙っているのか」「ヲタを見くびるな」と厳しい意見が飛び交う事態に。朝日の記事で枝野は「非正規雇用の拡大で若い皆さんの生活が破壊され、将来への希望がもてない。深刻な問題で、我々の姿勢を訴えていきたい」とも語っており、若い世代を意識した発言でもあったようだ。
しかし、この発言で露呈してしまったのは、民主党の“現状認識”のズレっぷりだろう。AKBといえば、いまや安倍首相の“お抱えグループ”と化しているのはご存じの通り。昨年開かれたASEANの夕食会で、AKBが各国の首脳や大使の前で「恋するフォーチュンクッキー」を披露した際には、「まるで喜び組」「頼むから恥をさらすな」とバッシングを受けたことも記憶に新しいが、それほどに安倍首相とAKBプロデューサーの秋元康はべったりの関係。秋元は自宅に安倍首相を招いて食事会を行うだけでなく、本サイトでも報じたように安倍首相が率先する“愛国化”を、秋元はビジネスとして利用している状態だ。こうした誰の目にも明かな密接な関係を知らないわけはないと思うが、枝野はいまさらAKBの歌を民主党ソングなどと言ってしまったわけだ。
というか、オルタナティブな存在として、でんぱ組.incやBABYMETALとまではいわないが、せめてももクロぐらい言えなかったのか。この一周遅れ感、政策で自民党との明確な違いを打ち出せないでいる民主党の現状を、ある意味象徴しているような……。
だが、認識不足という意味では、もうひとつツッコミどころがある。それは、この「チャンスの順番」が、ちっとも歌詞通りの“チャンスをつかむ”歌になっていないことである。