及川氏のように生前のたかじんをよく知り、そして中立の人物までもが『殉愛』に疑義を呈しはじめた、この騒動。それにしても情けないのは、マスコミである。自分たちがあれだけ大宣伝した感動物語の嘘がこんなにはっきりしたのに、その責任をとるどころが、さくら夫人の結婚歴問題をほとんど報道しようとしないのだ。
『情報ライブミヤネ屋』(読売テレビ)をはじめ、ワイドショーはどの局も1秒も報じなかった。『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)にいたってはこの状況にもかかわらず、次の日曜日に『殉愛』の感動大特集を放映する予定らしい。スポーツ紙も冒頭に書いたように一応、報道したものの、百田の言い分を垂れ流しただけだった。
週刊誌も黙ったままだ。本来、こういう美談をひっくり返すのが大好きなはずなのに、百田の“作家タブー”に恐れをなして、「週刊文春」「週刊新潮」「週刊現代」「FRIDAY」「週刊ポスト」など、どの週刊誌も一行も報道していない。
なかでも嘆かわしいのが「週刊文春」(文藝春秋)である。「文春」は以前に、さくらさんがたかじんの遺骨を見て「うわあ〜、焼き上がったマカロンみた〜い」と言い放ったことを暴露していたが、『殉愛』ではこの記事を引用し、「これは真っ赤な嘘である」「記事全体の「さくら」(記事中では「S夫人」となっている)像は、かなりひどい。露骨に悪意に満ちている」と百田に糾弾されているのだ。
もうすぐ百田の連載が「文春」でスタートするため記事にできないともいわれているが、「真っ赤な嘘」とまで書かれて黙っているなんて「文春」にプライドはないのか!と問いただしたくもなる。
近々では、たかじんの元弟子である打越もとひさ氏がブログやラジオで『殉愛』に反論したり、Twitterではたかじんが遺した直筆の文章をアップし、さくらさんの“たかじんメモ”の真偽を投げかけている。しかし、ここまでネタが揃っても週刊誌メディアは動かない……これだから、「マスゴミは嘘だらけ」なんていわれるのだ。
(酒井まど)
【リテラが追う!百田尚樹『殉愛』騒動シリーズはこちらから→(リンク)】
最終更新:2015.01.19 04:12