橋本愛オフィシャルブログ「AI HASHIMOTO」より
国民的ドラマとなった『あまちゃん』で一躍ブレイクを果たした橋本愛が、先日、Instagramで衝撃の告白を行った。それは「18になったときロマンポルノやピンク映画を観狂ってた」というものだ。さらに、先日惜しまれつつ閉館した新橋ロマン劇場にも足繁く通っていたと綴り、「魅力的なラインナップにいつも救われていて、はっきり言って青春でした」と回顧している。
あの美少女・橋本愛がポルノを観まくっている──そういわれると、落合モトキや綾野剛など、熱愛報道も多い彼女だけに「やっぱり肉食系女子なんだ」と落胆したり、「非処女確定」と憂う男子諸君も多いかもしれない。しかも橋本は、前述の新橋ロマン劇場が閉館するラスト3日間も出向き、「這ってでも行く気だったので、無事見届けられて良かったです」と感想を述べているのだが、その上映作品は『恋人たちは濡れた』『人妻集団暴行致死事件』『(秘)色情めす市場』と、刺激的なタイトルが並ぶ。
たしかに、もし女子に好きな映画は?と尋ねて、「『(秘)色情めす市場』かな」と答えられたら、ドン引きするかもしれない。だが、橋本愛は、エロを求めて這ってまでポルノを観に行っていたわけではないはずだ。というのも、ロマンポルノはエロ映画という枠にはおさまらない、むしろ邦画界において名作の宝庫だからだ。
たとえば、橋本は好きな女優として「宮下順子さんと芹明香さん」と、日活ロマンポルノを代表する二大女優の名を挙げているのだが、そんなふたりが共演している映画が、橋本も観た『(秘)色情めす市場』(1974年公開)だ。
物語の舞台は、大阪のドヤ街・西成。芹明香が演じる主人公は19歳の売春婦で、母親も同様に売春婦をして生計を立てており、知的障がいを抱える弟と暮らしている。子を身ごもるも堕ろす金がなく泥棒をはたらく母に、母の客であろうと身体を売り、さらには実弟とも関係する主人公……。
このようにストーリーを紹介すると、エロというより悲惨さしか感じられないかもしれないが、映画に漂うのは悲惨さよりも絶望を超越したような自由さだ。ドキュメンタリーのように西成の労働者たちの姿を活写しながら、その街でふわふわと宙に浮いたように生きる主人公。終盤でモノクロだった画面がカラーに変わるのだが、通天閣をバックにワンピースの裾を揺らして踊るように回る芹明香の鮮やかさは、日本映画でも屈指のラストシーンだ。