代理人「被告と付き合う当時、あなたは勤務していた会社のオフィス兼住宅に住んでいましたね。一般的ではないと思いますが社長は男性ですか、女性ですか?」
女性「男性です」
代理人「当時被告から仕事を問われた中で『社長にご飯を作ったり一緒に映画に行ったりするのが仕事』と言ったことはありますか?」
女性「ありません」
代理人「あなたの実家の父親は破産宣告を受けたことがありますね?」
女性「…すごく前に……ちょっとそこは分からない……」
代理人「学生のころはどんなバイトをしていましたか? 被告には『お金がなかったので池袋で水商売のバイトをしていた』と言ってなかったですか?」
女性「いってないです」
代理人「被告と付き合ってる時期に外泊があったり遅く帰ってきたことがありますね。妊娠の相談をしている中での被告からのメールには『散々注意しても、○ちゃん(原告)は夜遅くまで帰って来なかったり、時に外泊をしていたので、君の周りには様々な男がいると認識していましたし、それを理解した上での人間関係だと思っていました。些末なことですが、ルームサービスを頼まないでくれ、と言っても、隠れて頼み嘘をつき、払わせようとする、そういうところを取っても、信頼できないと思いました』とありますが?」
女性「そのようなことを注意されたことはありません」
代理人「では違うというなら反論していないのはなぜですか?」
女性「妊娠していて……それに反論する気持ちにもならなかった…なんで、こんな、酷いことを言うんだろう、と…」
田中氏が女性にあてたメールには「信頼できない」とある。ならばなぜ「避妊しないセックス」を女性に求めたのか。そもそも本当に求めたのか。その点は法廷で明かされることはなかった。この日、田中氏は出廷はしなかったが、書面などでは「30万円は、どんな選択をするにせよ一定の費用がかかると思ったから」置いたといい、「認知をしないと述べたことはないし、中絶しか選択の余地がないともう仕向けたこともない」と主張する。さらに「交際は順調ではなかったし、別の男との交際の可能性があると認識していたので、父親が誰なのかについて疑問がないでもなかった」とも。
田中氏は2005年11月に『僕が六本木に会社をつくるまで』(KKベストセラーズ)という本を出している。株式会社を立ち上げイケイケの時期だ。
「そもそも、人生において最も大きなリスクというのは、挑戦してみたいことがあるのに、自分に言い訳をして、挑戦せずに一生を終えてしまうことだと僕は思う。」
だが、今は当時と立場や社会的責任が違う。双方がここまで対立している以上、中絶トラブルの真相は不明だが、東証一部上場会社の社長としては別の対処の仕方もあった気がするのだが……。
(寺西京子)
最終更新:2014.09.12 05:56