『僕が六本木に会社をつくるまで』(KKベストセラーズ)/pre>
ソーシャルゲーム事業やソーシャルメディア事業等を手がける、グリー株式会社(GREE)の代表取締役、田中良和氏が、都内に住む20代女性から「中絶させられた」と3000万円の損害賠償を求める訴訟を起こされている。
グリー株式会社は楽天の社員だった田中氏が2004年2月、趣味でサイトを立ち上げことから始まった。サーバ費用も自身でまかない、作業は休日や終業後に行いながら、ソーシャルネットワーキングサイト「GREE」を運営し、ユーザーを拡大。同年11月にはグリー株式会社を設立した。その後『探検ドリランド』などの人気ソーシャルゲームを量産するが、2012年に勃発した「コンプガチャ問題」のあおりをうけ、業績不振に。今年5月からはブランド品買取サイト「uttoku by GREE」のオープンや、6月にはホテル予約アプリ「Tonight」のリリース、8月にはベビーシッターのマッチングサイト「スマートシッター」立ち上げなど、これまでとは毛色の違う新規事業を立ち上げているが、いずれも業績回復には結びついていないのが現状だ。また「Tonight」に至ってはリリースからわずか3ヶ月後の9月3日にサービスが終了している。
業績回復にむけてもがく中での訴訟騒ぎ。しかも内容は「中絶」と穏やかではない。田中氏は、いまや1800人以上の従業員を抱える企業の代表であり、そんな訴訟沙汰なんて起こすだろうか。そんな疑問が沸いていたところ、9月8日に東京地裁で本人尋問が開かれるとの情報を聞きつけ、傍聴に向かった。原告と被告双方の言い分を聞くチャンスである。
しかし法廷に被告である田中氏は現れなかった。代理人弁護士によれば「業務の都合上」とのこと。原告である20代女性に対しての尋問のみが行われることとなったが、女性が語ったのは、かつて田中氏と交際していた過去、そして中絶に至る経緯であった。
女性は目元のパッチリしたあどけない表情の美人。白いブラウスに黒いタイトスカート、黒のフラットパンプスに淡い紫色のタオルハンカチを持ち、証言台の前に座る。時折涙ぐみ、ハンカチを目元にあて、声を詰まらせながら、小さな声でたどたどしく当時の様子を語った。
訴状や準備書面によれば、ふたりは平成22年9月、あるパーティで知り合い、その翌年である平成23年に交際を始めた。女性が妊娠したことを田中氏に告げたのは平成24年11月。「被告から避妊しない性行為を求められた」結果だったと女性は主張している。
交際がスタートする時期、女性は住み込みで働いていた会社を辞めたため、住むところに困っていたところ、田中氏から「借りているホテルがあるから、もしよかったらそこに来れば?」と言われて住むようになったという。さらにその後、田中氏が借りた港区高輪の物件に引っ越しをした。ここには田中氏が生活用品も全て揃えて女性を住まわせたと女性は述べている。
「ちっちゃな食器や、お箸とか…全て揃えてくれていました。すごく嬉しかったです」
そして肝心の「避妊しない性行為」に応じた理由をこう述べた。