だが現在──。幸いなことに松原の予言は当たってはいない。しかし、松原は同書でこんなことを書いている。
「私に見えてしまった未来を人びとに告げ、警告するのも、本来の地球の動きに修正し、地球自体そして人類を救いたいからだ」
予言が当たらなくてもそれは、「私が予言したことで救えた」ということなのだろうか。
他にも世界情勢や日本の政局等についても言及する本書だが、はっきり言えば受け手の捉え方で当たっているといえば当たっているし、外れているといえば外れているような、曖昧な記述ばかりなのだ。
また、当時の状況を考えればそういうことは起きてもおかしくないだろうという、当たり前の予言も多い。たとえば、先の伊豆地震にしても、78年以降、伊豆半島沖の群発地震は注目され、海底火山が爆発したこともある。伊豆諸島を含む群発地震は以降30回以上観測されていた“頻度”の高いものだ。しかもこの伊豆大地震の時期は明記されていない。日本は地震列島だ。程度の差こそあれ、いつもどこかが揺れている。
もしかしたら、松原は確率の高いものを「いつかくる」と言っているだけではないのか。そんな疑問も浮かんでくるのだ。
それは27年前だけではなく、松原の現在の予言にも共通するものだ。例えば、2011年に松原はこんな予言をしている。
「近年中に又、我国の先生がノーベル賞をとる事でしょう。この発明は手術を大きく変える事でしょう。見えた事が書きにくいのですが『体内で再生』こんなイメージがしました」
これは翌年12年に京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞が受賞を予言したと言われるものだが、現在では19人もの日本人がノーベル賞を受賞しており、近年では00、01 、02、08、10、12年と数年に一度は受賞している。「近年」といった曖昧な記述では、的中するのはいわば当然。また「体内の再生」がiPS細胞を予言したというが、この時、すでに山中教授やiPS細胞の存在も知られており、少し調べれば分かることだ。
また、13年2月12日にはこんな予言があった。
「今日はいきなりなのですが、踏切には十分気を付けて下さい。と申し上げたいのです。何故か『踏切』」が頭から離れません」
実際この予言とおり、当日に兵庫県高砂市で踏切事故があり、15人が怪我を負ったという。しかし、日本、いや世界を見れば踏切事故、人身事故は連日かなりの頻度で起きている。