『恵庭OL殺人事件 こうして「犯人』は作られた』(日本評論社)
2000年に北海道恵庭市で起こった女性の殺人事件をご記憶だろうか。
同年3月17日、農道で女性の焼死体が発見される。死因は首を絞められたための窒息死とされ、死後に焼かれたものだった。被害者は通運会社に務める当時24歳のOLだったが、容疑者として逮捕されたのが被害者の同僚で29歳の女性だったことで、当時マスコミでも大きく報じられたものだ。
被告女性には既に懲役16年の刑が確定しているが一貫して無罪を主張、再審を請求していたが今年4月21日にそれは棄却されている。
だが、この事件は発生当初から冤罪が根強く囁かれているいわくつきの事件だった。
そんな中、真犯人を示唆したとも思われる衝撃の書が存在する。それが被告の弁護人である伊東秀子の著『恵庭OL殺人事件 こうして「犯人」は作られた』(日本評論社)だ。そこから浮き彫りにされる真犯人像とは!?
本書によると、警察は会社内部の犯行を疑い加害者女性を「唯一アリバイがない」などとして逮捕したが、実際には他にも4人の男性従業員にアリバイがなかったという。その1人がリフトマンの林(仮名)なる人物だ。
「林の供述にはいろいろ不審な点が多い。現在の妻とは初婚でなく再婚で、最初の妻は自殺している」「警察官に対し『妻と食事をとった』と供述し、アリバイを証明してくれるのは妻しかいないと供述しながら、(別の日には)検察官に対して『妻は二〜三日前の約束でKさんの家族と食事をしていた』と供述を変え(事件当日の)未明の午前三時三六分頃に不明者から電話があったことも供述している」
それだけでなく、林は仕事仲間に「朝、通勤途中の車のラジオで(事件を)聴いた」と話したが、その時間には事件が報じられていなかったこと、その後は「さっき運転手から聞いた」と話しを急に変えていることなどが記されている。また事件発覚日「(普段リフトマンは)一階の男子トイレを使用するのに、わざわざ二階女子休憩室(被害者の携帯が見つかった場所)の前の男子トイレに入った」り、事件のことをさかんに気にしていたなど不審な点が多かったというのだ。
また別の日には加害者女性の自宅付近をわざわざ調べて訪ねながら、逮捕前の加害者女性にバッタリ会うと目的を告げずに、近くに知人が住んでいることを装い「自分と会ったことは内緒に」と頼んでもいる。またこの日、「林の歩いていたあたりの草むらから紛失中の(加害者の)携帯電話が発見された」という。