『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』(幻冬舎新書)
いよいよ梅雨もあけ、本格的に夏が到来した。汗をかきやすいこの季節、多くの人が汗のにおいを気にするが、ある人たちのあいだでは、もうひとつ悩みがある。それは、汗によって髪がべったり張り付き、薄毛がバレてしまうのでは?……ということだ。
薄毛は中年男性の悩みだと思われがちだが、若い男子にも思い詰めている人は数多い。さらに女性にとっても、薄毛によって髪にボリュームが出ないことは悩みのタネ。老若男女共通の問題なのだ。でも、どうして薄毛になってしまうのか──その原因のひとつを「みなさんが毎日行っているシャンプーを使った洗髪にあると考えられます」というのは、『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』(渡辺雄二/幻冬舎新書)だ。
多くのシャンプーの洗浄成分は、合成界面活性剤のアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)、AESのなかでもポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、略称「ラウレス硫酸Na」というものだ。この「ラウレス硫酸Na」は皮膚に対する刺激性があるそうで、本書によれば「ラウレス硫酸Naの0.25%溶液をヒト29人の皮膚に、48時間貼付した実験では、6人がかすかに赤くなり、1人には強い刺激反応がありました」という。この刺激性が「頭皮を赤くしたり、かゆみなどをもたらす可能性がある」らしい。そして、髪を守っているキューティクルも傷つけられているというのだ。
ある実験では、市販のシャンプーで毎日髪を洗っている22歳の女性は「20層あるキューティクルが溶けてしまい、変形」。同じように45歳の男性も「キューティクルが溶けて落ちかけていました」と著者は述べている。
なかには「キューティクルが溶けても、髪にツヤがなくなるだけでは?」と思う人もいるかもしれないが、キューティクルが完全に破壊されてしまうと、深部にある毛髄質という糸状の細胞がむき出しになってしまう。つまり、髪が脆くなり、毛が抜けるサイクルが早くなってしまうのだ。
ラウレス硫酸Naは浸透力も強く、毛が抜け落ちた毛根部(の毛乳頭、毛母細胞)にもダメージを与え、毛が作られにくくなってしまう。このため、結果的に薄毛になってしまうのではないかというわけだ。
この「ラウレス硫酸Na」は、実は台所用洗剤に含まれている成分。つまり、私たちは、台所用洗剤で髪の毛を洗っているのと変わらないのだ。