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職場で急増中!「働かない」「使えない」オジサン問題をどうする

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『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか 人事評価の真実』 (新潮社)

 職場にこんな50代はいないだろうか? 営業部に在籍しているにもかかわらず、顧客を前にしても、ただうなずくだけの無気力な50代社員。上司からの信頼がまったくないにもかかわらず、部長の意向ばかりをうかがっている50代社員、過労気味の若手社員の相談にも乗らず定時になると帰ってしまう50代社員……。つまり、「働かない」「使えない」オジサンだ。会社勤めをする20~50代は、「働かない」「使えない」オジサンに対する不満で口を揃える。

 しかも、こうした「オジサン」の給料は会社の貢献度が少ないにもかかわらず、身を粉にして働く若手社員と比べるとなぜか高いという問題が若い世代からの風当たりを強くする。業種も規模も異なる多くの企業から出てくる「働かない」オジサン批判。
 
「人柄や個人的な問題だけで働かなくなっているのであれば、これほど共通した話題にはならないだろう。そこにはそうさせるような会社の仕組みが横たわっていると考えたほうがいい」というのは、『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか 人事評価の真実』 (楠木新/新潮社)だ。

『人事部は見ている。』(日本経済新聞出版社)などの著書のある人事畑を歩いてきた現役サラリーマンである著者によると、働かないオジサンという問題は、新卒一括採用と終身雇用制という日本型雇用システムの生み出す弊害だという。

「新卒一括採用された社員の多くが、現場ミドルトップの階層を上位に向けて駆け上がろうとするので、結果としてポストが足りなくなる」「役職が上がるにつれてポストは減少し、元気のある後輩もいるので、どこかで権限のある役職から離れざるをえません。その時にオジサンは、頑張ってもこれ以上は給料が増えないし、出世もしないことに気付きます。同時にそれほど働かなくても給与はそんなに下がらないこと」に気がつくのだ。このため、本人のモティベーションも低下する。

「多くの日本企業では能力やスキルにそれほど焦点が当たっていないので、社員に対する評価もきめ細かく行われているとは言いがたい。そのため個々の社員に対して低評価を理由に給与を引き下げたり、退職勧奨を個別に行うことはやりにくい」(同書より)

 また、評価ができていないにもかかわらず極端なリストラを行なわざるをえなくなると、「追い出し部屋」でマスコミをにぎわせるなど、問題をこじらせる企業も出てくる。

 実際の貢献以上の給与が払われている理由も、かつては「社員が若い時には貢献度よりも低い賃金を払い、その差異の部分を中高年になって以降に支払っている」などと年功序列型賃金制度で理由付けられてきたが、これでは、将来の保障がほとんどなく、現時点での実力評価だけで給与が決まる成果主義的人事に直面している若い世代を説得できないのだ。

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