■あの巨匠も巨女マンガを描いていた!
手塚治虫と藤子・F・不二雄、実はこの日本を代表する2人の大マンガ家も巨女マンガを描いているのである。
『ドラえもん』や『パーマン』など児童向け漫画で有名な藤子・F・不二雄は、「カンビュセスの籤」や「ミノタウロスの皿」といったダークな短編を残したことでも有名。その中のひとつに「やすらぎの館」(藤子・F・不二雄〈異色短編集〉2『気楽に殺ろうよ』所収/小学館)という作品がある。内容はこうだ。
「やすらぎの館」は、政治家や大企業の社長といった一般人には計り知れない、強いプレッシャーの中で仕事をするエリートばかりが所属する会員制クラブ。そこには一人の非常に大きな女性がいる。母のような彼女の前にいると、男たちは悩みもなにもなかった幼少期へ、だんだんと退行していく……。そこで男たちはあらゆる責任とプレッシャーから解放された、幸せな子ども時代を再体験するのだ。
ここで描かれている巨女は、大人の男性にとっての母だ
あらゆる二次元萌の元祖ともいわれる手塚治虫の「こじき姫ルンペネラ」(『手塚治虫漫画全集』128「タイガーブックス」第8巻所収/講談社)は、もっと直接的だ。
追われる美少女ランプの精と、そうとは知らず恋に落ちた予備校生のドタバタ活劇がこの作品のストーリーだが、敵兵に追い詰められたランプの精が使う「ロマンポルノ術」がスゴイ。とんでもなく巨大化したランプの精が、敵兵を自身の女陰へと誘いこみ、胎内に閉じ込めそのまま押し潰してしまうというものだ。
手塚治虫にしか描けない究極の母体回帰願望である。巨女=母性とまでは言えないけれど、やはり大きいことは強いことの証明であることは間違いない。
自分より強くて安心できる女の子に憧れる男の子の気持ちは、今、どこにあるのか? 本格的な巨女ブームが来た時にそれははっきりするのだろう。
(伊作里士夫)
最終更新:2018.10.18 04:31