NHK連続テレビ小説「花子とアン」公式サイト「葉山蓮子役 仲間由紀恵インタビュー」より
ついに開始以来最高の25・9%という高視聴率をマークしたNHK連続テレビ小説『花子とアン』。物語はいよいよ佳境を迎えつつある。花子の略奪結婚に続く大事件、仲間由紀恵演じる蓮子のモデルとなった人物による「白蓮事件」の章に突入しているからだ。
「白蓮事件」というのは、伯爵家の娘で大正天皇の従妹にあたる歌人・柳原白蓮(本名・伊藤燁子)の不倫駆け落ち事件のこと。白蓮は25歳年上の炭坑王の夫・伊藤伝右衛門と結婚したが、それは政略結婚で結婚生活は不幸なものだった。そんな時、年下の社会運動家の宮崎龍介と出会い駆け落ちを決意。この駆け落ち劇は新聞にも大きく取り上げられ、世間を騒がす一大スキャンダルへと発展した。
『花子とアン』でも今週は、葉山蓮子(白蓮)のもとに宮本龍一(宮崎龍介)が来訪し再会。ついに駆け落ちを決意する展開になっている。
そんな中、「文藝春秋」8月号に、駆け落ち相手の宮崎龍介の告白手記が掲載された。今回掲載されたのは宮崎が亡くなる3年半前の昭和42年6月号に掲載された手記を再録したもの。「文藝春秋」は、「いま再び脚光を浴びる『白蓮事件』の真相を知るために、全文を再録する」と書いているが、その内容は確かに事件の真相を知る上でも、そしてドラマを観る上でも興味深いものだ。
手記は、龍介が創刊した社会運動の機関誌「解放」に原稿を持ち込んできた白蓮との出会い、そして次第に白蓮に惹かれていく龍介の心情、さらには一緒になった後の生活などが克明に描かれている。
しかし、この手記で驚かされるのは、なんといっても今週から来週にかけて放映されている駆け落ち劇の舞台裏だろう。
龍介の手記によると、燁子は親戚のお祝いに行くという名目で上京。そのまま行方をくらまし、龍介と駆け落ちをはたす。ところが、このとき、朝日新聞が「『筑紫の女王』伊藤燁子 傳右衛門氏に絶緣狀を送り 東京驛から突然姿を晦ます 愛人宮崎法學士と新生活?」という見出しでスクープ(1921年10月22日大阪朝刊)。さらに、同紙には白連が夫に送りつけた“絶縁状”が掲載されるのだ。そして、この朝日報道をきっかけに、夫・伝右衛門からの反論が別の新聞に掲載されるなど、スクープ合戦に発展。世間を揺るがす大騒動に発展していくのである。