なかでも特筆すべきは、東京オリンピックをめぐる報道だろう。
ワイドショーのなかで唯一、いや、『報道ステーション』(テレビ朝日)のようなニュース番組や大手新聞も含めて、最後まで五輪礼賛に流れることなく五輪批判をしつづけたのは、はっきり言って『バイキング』だけ。それも坂上自身が「反五輪」の立場を旗幟鮮明にしていた。
実際、坂上は『バイキング』で開会式直前まで東京五輪の開催を批判し再延期を訴え、「五輪選手の活躍を伝えて、次のコーナーでコロナの死者を伝えるなんてできない」と繰り返し発言。五輪期間に入ると、コロナ感染拡大が深刻な局面を迎えているにもかかわらずテレビは完全に東京五輪一色となり、NHKも民放も「金メダルラッシュ」だの「明日の見どころ」だのと総オリンピック特番状態で五輪礼賛に終始していたが、『バイキング』だけは五輪・金メダル礼賛報道をおこなわなかった。
また、坂上は開会式がおこなわれた7月23日の放送を最後に夏休みで番組を休み、8月4日放送から復帰したのだが、復帰早々、菅政権や東京都のコロナ対応と五輪強行開催を厳しく批判しつづけた。
「菅総理がずっと繰り返していた安全・安心なオリパラ開催っていうのは、僕は、ある意味、医療従事者の方々がお仕事をする合間にテレビを付けるなりして、応援する物理的な時間と、あとは応援する気持ちになるっていうその状態がある意味、安全・安心なオリパラ開催。もはや、この状況でどうしてくれるんだ?っていう気持ちしか僕にはない」
「僕がすごく許せないことは、菅総理も小池都知事もオリパラに直接的な原因がないからといって、でも、間接的な要因であることは間違いないはずなんです。なんだけれど、いまの感染爆発状況とオリパラをまったく結びつけようとしない。あの誠意のない答え方をいつまで続けるんだって。一番腹立たしい」
五輪の開催とともに夏休みに入ったため、一部では「逃げた」などとも揶揄されていた坂上だが、五輪反対の意思は固く、その立場を貫いたのだ。
しかも、元JOC参与の春日良一氏がラジオ番組で暴露したところによると、『バイキング』のプロデューサーは坂上に対し、オリンピック開始1週間前くらいに「五輪開催反対でなく、中庸でいくように」という方針を示していたが、坂上が徹底抗戦してこの方針をはねつけたのだという。