アーティストの奈良美智も、7月10日、オリンピックをめぐる政府の姿勢、さらにはオリンピックの本質に疑いの目を向けるツイートを連投している。
〈オリンピック!今まで世界中のほとんどの人々はテレビで観てきた。競技場の定員って決まってるし、ごく一部の幸運にもチケットを手にした人しか生で観れない。誰でもが観れるわけないのに、なぜなぜなぜ観客入れることにこだわってたのか?そういうのと無縁に暮らしてる人たちがほとんどだよ・・・〉
〈復興五輪とか言ってたのにいつの間にかコロナを克服した大会みたいなこと言い出してこれだもんな。愚痴は言いたい。空港だって(たとえば)福島空港は震災以降、国際線、税関は使われていないし、国内線も2便だけ。五輪関係者は福島空港に降りてもらうとか。混んでない地方空港いっぱい作ったでしょ。〉
〈今までオリンピックの仕組みとか全く考えたことも無かったけど、今回の騒動でそれが解ってきて、すごい虚無感に襲われている。なんか大きな会社や組織や権威に搾取される自分も含む人々と、スポーツ選手がダブって見えたりする時もある。○○界とか言われるとこはそういう仕組みなんだ(今頃気付く〉
奈良は「今頃気づいた」と言っているが、実際、今回のオリンピックを強行しようとする政府や組織委の姿勢を見て、政府が実際は国民の健康や命のことなど一つも考えていないこと、ただ、国民をお祭り騒ぎに踊らせて搾取しようとしていることに気づいた人も多かったのではないか。
一方では、「もう何を言っても五輪は開催される」というあきらめムードも漂っているが、しかし、批判の広がりによってはまだ開催中止の可能性だってゼロではないし、開催が強行されたとしても、今より少しでもきちんとした感染対策を要求することができる。そのためにも、こうした発信力のある芸能人やアーティスト、作家にはもっとももっと声をあげていってほしい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.07.11 08:46