もうひとり、芸人で本質的な指摘をしていたのは、フットボールアワーの岩尾望だ。7月8日『バイキングMORE』(フジテレビ)に日本オリンピック委員会(JOC)元参事の春日良一氏が出演。「ひと言言いたいのは、五輪はやっぱり特別なものなんです。普通のイベントとは違うんです。そこは理解してもらわないと始まらない」と発言したときのこと。
この発言については、司会の坂上忍も「特別を理解しろと?」「この状況で『特別』は受け入れられるのか?」と激怒していたが、岩尾は春日氏への反論のなかで、スポーツやオリンピック絶対主義の欺瞞性にまで踏み込んだ。
「僕個人で言うと、『オリンピックのスポーツの力でみんなを元気に』とか『乗り越えよう』みたいなことを言いますけど、それもわかるんですけど、僕個人としては、こういうフェスとか音楽の力で元気になることのほうが今まで圧倒的に多かった」
「オリンピックに関わるような人間が『オリンピックは特別なんです!』って言ったときに、ライブ楽しみにしてた人やミュージシャン、文化祭中止になった人が、誰が応援すんねん」
「『見てみ、スポーツの力で元気になるから』って押し付けられても……」
「いや、オリンピックも大事だし、文化祭も大きなフェスも全部大事です。だから、本当に感染拡大したときは泣く泣く中止やけれども、みんなできる範囲で、オリンピックの犠牲として中止じゃなくて、できるときはみんなできる範囲でやりましょうってせんと。みんなオリンピック、しかめっ面で見るんじゃないかな」
芸能人だけではない。星野源と新垣結衣主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などで知られる脚本家・野木亜紀子も、7月8日、こうつぶやいた。
〈オリンピックとは何であるか。今こそ『いだてん』の再放送が必要なんじゃないか。と思うけれどもオリンピックはすでに二週間後なので放送しても間に合わない。つか、マジでオリンピックやるの?その引き換えに飲食店や酒類販売業者を悪者にするの無理がない?感染の原因は本当にそこだけなの?〉
しかも、このツイートにユーザーから「新しいドラマのテーマ、決まったみたいです」というリプがくると、〈それがねえ、義がない上にクソって、薄っぺらい敵になってしまうのでドラマにならないんですよねー。困った。〉と鮮やかな返しをしていた。