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菅政権が五輪期間中に感染者増えても緊急事態宣言出さない方針! 官邸幹部が「重症化しなければコロナもただの風邪」と放言

 しかし、この判断がいかに危険なものであるかは明白だろう。当たり前の話だが、感染者が増えれば一定数は重症化するのがコロナであり、重症患者の増加を抑えるほどにはワクチン接種が進んでいないからだ。政府のデータでも65歳以上のワクチン2回接種率は全国で35.86%、東京都でも37.13%にすぎない(5日時点)。

 その上、現在の東京で入院患者として増えているのはワクチン接種が進んでいない65歳未満の層だ。実際、1日におこなわれた東京都モニタリング会議では、「入院患者の年代別割合は、40代、50代の割合が高く、30代以下は全体の約30%を占めている」「6月以降、若年・中年層の入院患者の割合が増加している」と指摘し、「この傾向が続けば、若年・中年層の中等症患者が増加し、遅れて重症患者が増加する可能性がある。このことを踏まえた入院医療体制の強化が必要である」と警鐘を鳴らしている。

 つまり、これまでは若年層から高齢者層へ感染が波及し、それによって高齢者の重症者が増加してきたが、いま懸念されているのは感染者が多い若年・中年層の重症患者の増加なのだ。このまま菅首相が新規感染者数を見ずに病床使用率にだけこだわって対策を見誤れば、一気に医療提供体制は逼迫状態となり、東京は大阪のように医療を受けられないまま亡くなっていく患者が続出することになるのは目に見えている。

 その上、東京五輪がはじまれば、たとえ無観客であっても、お祭り騒ぎが繰り広げられるなかで人出を抑えようなど無理な話。田村厚労相は本日の会見で「夜間を中心にリスクの高い行動を減らせなければ感染は抑えられない」と述べたが、そのためには東京五輪を中止するしかない。

 だが、菅首相は中止どころか、是が非でも少なくとも開会式までは緊急事態宣言を発出することはないだろう。そして、それは「緊急事態宣言下の開会式」というディアストピア小説も真っ青な異常事態を避けるためだけの判断だ。そこには国内だけではなく世界の厳しい視線をごまかす目的もある。「緊急事態宣言」だと「State of Emergency」と強い言葉になるが、「まん延防止等重点措置」ならば「Semi-emergency coronavirus measures」(AP通信)や「emergency measures」(ロイター)などと印象を弱められるからだ。

 現在の東京の感染状況はいますぐにでも宣言を発出すべき局面であるにもかかわらず、東京五輪の開催のためにそれが見送られる──。言うまでもなく、これは「国民の命と安全を守る」という首相の職責を放棄する行為にほかならない。8日に菅首相が重点措置の延長を表明した場合、それは「国民を見殺しにする」という宣言だということを忘れてはならない。

最終更新:2021.07.06 10:26

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