そして、今回の「週刊新潮」のイチャモンとしか言いようのない的はずれなバッシング記事……。こうした“岡田叩き”には、オヤジ週刊誌の「女のくせにしゃしゃり出てきやがって」というミソジニーが大きく影響しているのは間違いないだろうが、「週刊新潮」が酷いのは岡田教授のバッシングだけではない。
というのも、「週刊新潮」は前述した「K値」を持ち出して「7月9日ごろにピークアウトする」と大ハズレ記事を掲載した次の号の7月23日号でも「K値」に基づいて「ピークアウトしている」と強調し、「対策をとらなければ、日本でも何十万人という方が亡くなってしまう」と発言した山中伸弥教授を〈感染症やウイルスの専門家ではない〉と断罪。しかし、その記事の補強要員として登場させたのは、それこそ専門が「感染症やウイルス」にかすりもしない経済学者の池田信夫氏や国際政治学者の三浦瑠麗氏といった有様だった。
しかも、「週刊新潮」は性懲りもなく昨日19日に発売された最新号でも、三浦氏を登場させて「帰省しないでください、と強い調子で訴える知事は、一種のパニックになっているように思います」などと語らせたかと思えば、K値を喧伝しつづけた人物であり、前述の『あさパラ!』に出演して岡田教授バッシングに乗っかっていた宮沢孝幸・京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授がインフルエンザと新型コロナを比較して「陽性になった人はほとんど“普通の風邪より楽だ”と言います」と言い、若い人が重症化する可能性もゼロではけっしてないのに「40代以下の若い人は、早くかかって集団免疫を獲得したほうがいいとも考えられる」などと発言。しまいには「“緊急事態宣言を早く出せ”というのも、まったくの認識不足。普通の生活を取り戻すことを最優先すべきです。知事を含めて政治家たちは、自粛のために“予算をつけましょう”“補助金を出しましょう”などと言いますが、それらは私たちが返していかなければいけないお金です。だからこそ歯を食いしばってでも、経済を回さなければいけません」と、それこそ専門外の経済の話を語らせて紙面に掲載している。
ようするに、「週刊新潮」の岡田教授バッシングは、他のメディアの攻撃と同じく、ミソジニーにくわえ「国民の健康や公共の福祉より大事なのは金儲け」「病気の予防なんて国に頼らず、自分でなんとかしろ」という経済至上主義、自己責任論があるのだ。そのため、経済への影響ではなく「サイエンスとして」感染状況を分析し、行政の徹底した感染対策を求める岡田教授が目障りでしようがないのである。
岡田教授に何度となく繰り返される不当で下劣なバッシング。その根本にある経済至上主義、自己責任論こそが、いまこの国で感染拡大に歯止めがきかない状況を生み出している「害悪」にほかならないのだ。
(編集部)
最終更新:2020.08.20 07:54