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「コロナの犠牲でなく、えらい人が考えた基準の犠牲になった」という遺族の訴えに加藤厚労相が“国民の判断の目安にすぎない”と開き直り

 コロナの犠牲者ではなく、国が設けた目安によって犠牲者になった──。これは他の遺族からも出ている指摘だ。たとえば、単身赴任中の50代の男性が社員寮で“孤独死”した件では、亡くなった男性の妻が「このままではきっとまた、同じような不幸が起きます。なぜ、検査まで6日もかかったのか、なぜ結果まで1週間と言われて、せきや39度近くも熱があって入院もできなかったのか」と訴えている(毎日新聞 医療プレミア4月22日付)。

 そもそも、“4日ルール”の危険性は2カ月以上前から指摘されていた。現に、和歌山県の仁坂吉伸知事は2月28日に、政府の「受診の目安」について「自宅待機させることで、かえって早期発見と悪化防止の妨げになる可能性がある。クリニックもパンクしている状況にない」と批判し、「和歌山県は従わない」と宣言していた。ここまで放置してきたのは、安倍政権なのだ。

 こうした事態を生み出した“4日ルール”を設けた責任を、加藤厚労相はどう考えるのか。柚木議員は「“4日ルール”がはからずも運用がされてしまった、国民がそう受け止めてしまった(としても)、せめて一言、お詫びの言葉をここで述べていただけないか」と追及したのだが、しかし、加藤厚労相はこう言い放ったのだ。

「当時の議論として、国民がわからないというのは、当時、いったい新型コロナウイルス感染症はどういった症状を出すのかわからない、当初ですよ? ということがあったんで、こういう目安をつくりましょ、そういう話を申し上げた。そこは誤解していただきたくない」
「(目安が相談センターや医療機関でも)使われているということがあるんで、これは幾度となく『そうではないんだ、総合的な運用をしていただきたい』と通知も出させていただいて、今回出す通知もですね、したがって相談や受診側がこれで判断するものではありません。国民のみなさん方が受診や相談の、あくまでも判断の目安にするものとして出させていただいている」

 悲痛な遺族のコメントを聞いても、「国民がコロナの症状がわからないというから目安をつくっただけ」と開き直った加藤厚労相……。しかも、「今回出す通知は相談や受診側がこれで判断するものではない」ということは、今後も現場では“4日ルール”が続いていく可能性まであるのではないか。

“4日ルール”によって多くの人が重症化し、救えたかもしれないのに亡くなってしまうという犠牲者を出しながら、反省はおろか、抜本的な見直しをおこなおうとはしない加藤厚労相。いや、そもそも最初から感染拡大を防ぐという観点に立っていれば、和歌山県の仁坂知事のように“4日ルール”などは設けていないはずなのだ。事態をここまで悪化させたにもかかわらず、いまだに問題解決を図ろうとしない安倍首相と加藤厚労相が舵取りしていること、それこそが「国難」だ。

最終更新:2020.05.08 09:29

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