グレーゾーン遺体を報じたNHK『おはよう日本』
終わりの見えない新型コロナウイルス。周知のように、この数日で死亡者数は急増、20日には一日あたりで最多となる全国21人の死亡が発表された。安倍首相はこれまで、「死亡者数が少ない」ことのみをもって「日本は持ちこたえている」と強弁し、数々の失策をごまかそうとしてきたが、その“根拠”が目の前で崩れ去ろうとしている。
しかも、新型コロナ感染症による死者数は、当局の発表よりも遥かに多い可能性が高い。それを物語るのが「変死者の感染」だ。
警視庁によると、今年3月中旬から4月中旬の間、全国の警察が死因不明の「変死」として扱った死者のうち、新型コロナウイルスに感染していたケースが11件あったという。報道によれば、その内訳は東京が6件、兵庫が2件、神奈川、埼玉、三重で各1件。自宅で死亡した人のほか、路上で倒れていた人もいたとされる。いずれも検視の過程でPCR検査を行い、感染が判明したと見られている。
このニュースに、教育評論家の尾木ママこと尾木直樹氏がブログで〈びっくりすると同時に『やっぱりー』と思いました!〉と感想を語った上、こう指摘した。
〈PCR検査をなかなかやらない方針の日本では 特に高齢者の肺炎や呼吸器官異常などで亡くなった人の中に かなりコロナ陽性だった人もいるのではないでしょうか? 5都県に渡って実は、密かにコロナで亡くなっていた──なんて!悲しすぎます! やはり日本の検査しない基本戦略に疑問持たざるを得ないです〉
この指摘はもっともだろう。「変死」とされていた遺体がのちに「コロナ陽性」だとわかるという事例はレアケースであり、氷山の一角。この裏には、検査されないまま処理されてしまう、“隠れ感染死”が数多くいるのは確実だからだ。
周知のように日本は、表向き、新型コロナ感染症による「人口あたりの死亡率」が各国と比較して極端に低く、「死者数を感染者数で割った死亡率」もヨーロッパと比べて低水準というデータが出ているが、この間、「実は、カウントされていない感染死がかなりの数にのぼるのではないか」という見方がずっと燻ってきた。
たとえば、4月7日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、匿名の葬儀関係者の「実際は検査されないで(遺体が)引き渡される可能性っていうのはゼロではない」というVTRコメントを紹介したうえで、スタジオでは「PCR未検査の肺炎はコロナ感染者同等の扱い」と説明。死後のPCR検査数を東京都に取材した結果として、「現在把握しているのは3件。生きている方のPCR 検査が優先。何もかも行うわけにはいかないのが現状」というコメントを伝えていた。さらに、番組のなかで玉川徹氏が「やっぱり、都も亡くなっている肺炎患者さんが新型コロナじゃないとは言い切れないんですよ」「もしかすると、新型コロナで亡くなっている人というのはもっといるのかもしれない」と正面から疑義を呈した。
この『モーニングショー』の報道は、SNS上で「デマ」「陰謀論」などと批判する声もあったが、しかし、この「PCR検査がされないまま遺体が火葬されている」という話は、ここにきて決定的になっている。
17日放送の『おはよう日本』(NHK)が、PCR検査がなされないまま肺炎で死亡し葬儀業者に運ばれた「グレーゾーン遺体」の問題を取り上げた。