そんな吉本興業の大御所芸人・オール巨人が、なぜ今回、こんなふうに安倍首相に皮肉を飛ばしたのか。
しかし実は、オール巨人は、2017年末にウーマンラッシュアワーが『THE MANZAI』(フジテレビ)で政治風刺漫才を披露した際、「週刊プレイボーイ」(集英社)2018年2月12日号掲載の連載コラムのなかで、こんなふうに評価していた。
〈だいぶ話題になったのでご存じの方も多いと思いますが、原発などの社会問題に触れてたあのネタ、劇場などで何回か見ているんですが、僕はいいんじゃないかと思ってます。ネタとしても完成度が高かったし、沖縄や福井の人がいやな思いをしたというのならともかく、基本的には弱者の立場に立って政治を皮肉るスタンスですから。本人も福井出身だし、言ってみれば自虐ネタです〉
〈これが、誰かを立ち直れないほど傷つけたらそれはNGでしょうが、僕はあのネタが漫才のルールを逸脱しているとは思いません〉
『M-1グランプリ』(テレビ朝日)や『THE MANZAI』など多くの漫才コンテストで審査員を務めているだけに、まずは「ネタとしても完成度が高かった」と評価したのに加え、「基本的には弱者の立場に立って政治を皮肉るスタンスですから」と、村本大輔の弱者の側に立ち権力者を風刺するという姿勢を評価していたのだ。
弱者を叩き権力者におもねる、文字通り「幇間」と化した松本人志ら多くの吉本芸人とは違って、オール巨人はお笑いは弱者の側に立ち権力者を風刺するものという芸人として真っ当な感覚を持っているらしい。
今回のツイートも、そうしたオール巨人の姿勢から生まれたものだったのかもしれない。とはいえ、オール巨人はそこまで、政治や社会問題について発言する機会が決して多いわけではない。それでも、今回こうやってツイートしたのは、それだけ安倍政権のコロナ対応がひどすぎるということだろう。
(林グンマ)
最終更新:2020.04.15 06:59