周知のように、この数年、安倍首相べったりの早河洋会長らテレビ朝日の上層部は『報道ステーション』の政権批判封じ込め人事をおこなってきた。2018年7月には、早河会長の子飼いである桐永洋氏をチーフプロデューサーとして送り込み、同年9月には小川彩佳アナを番組から追放して早河会長お気に入りの徳永有美アナをMCに起用。政権批判や原発報道を極端に減らしてスポーツなどをメインにするリニューアルをおこなった。
その後、桐永CPは昨年8月末、女性アナウンサーやスタッフへのセクハラが問題となりCPを解任され、『報道ステーション』の政権批判封じ込めも終わるかと思われたが、そんなことはなかった。昨年12月、「桜を見る会」報道に絡んで自民党の世耕弘成・参院幹事長から抗議を受けたことをきっかけに、後任の鈴木大介チーフプロデューサーをたったの7カ月での更迭を決定。さらに、社員スタッフ5人の1月1日付での異動と、社外スタッフ約10人に対しても3月いっぱいでの契約打ち切りを宣告したのだ。
この社外スタッフたちはニュース班のディレクターやデスクらで、10年以上も番組を支えてきたベテランたちだ。つまり、テレ朝上層部は政権批判封じのために、世耕氏のクレームに乗じてジャーナリズム路線を守ろうとしていたスタッフたちの排除を強行したのである。
「後藤さんの降板もこの流れの一環でしょう。後藤さんについてはちょうど『桜を見る会』に絡んで、ジャパンライフ会長主催の懇親会に参加していたという問題がもちあがっていた。後藤さん自体は、ジャパンライフと関係があったわけではなく、顧問を務めていた朝日新聞の元政治部長に誘われて、ジャパンライフ主催の二階俊博・自民党幹事長を囲む情報交換会に付き合いで参加しただけなんですが、テレ朝の上層部がその問題を使って、相当、揺さぶりをかけていた。本来なら、後藤さんにきちんと番組で説明させて続投させるべきだったと思いますが、テレビ朝日はそれをさせずにうやむやのまま、降板に追い込んだんです」(前出・テレ朝関係者)
今回の後藤氏の降板もまた、古舘伊知郎や古賀茂明、岸井成格、国谷裕子などと同じように、安倍政権を批判したことで、番組降板に追い詰められたということだろう。
しかも、懸念されるのは後藤氏の後任のコメンテーターだ。テレビ朝日は月、火曜が共同通信社編集委員の太田昌克氏、水、木曜は朝日新聞記者の梶原みずほ氏が担当することを発表した。太田氏は『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)などでもコメンテーターを務め、リベラルなスタンスで知られているが、問題は梶原氏だ。
梶原氏は朝日新聞記者ではあるが、アメリカ国防総省アジア太平洋安全保障研究センター客員研究員を務め、『アメリカ太平洋軍 日米が融合する最強軍団』(講談社)という日米同盟やアメリカ軍を無批判にレポートする著書を出すなど、明らかに、米国に近い人物なのだ。
米軍がイランのソレイマニ司令官を爆撃・殺害した際も、「朝日新聞GLOBE+」でイスラエルの国際カウンター・テロリズム研究所のボアズ・ガノール所長をインタビュー、爆撃と核合意離脱を肯定する意見を無批判に垂れ流していた。